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第8話

「妃殿下にはこちらのお衣装などいかがでございましょう。お袖と襟元に大粒の真珠をあしらい、刺繍ではなく染めで一枚絵を全体にほどこした逸品で、帯にもダイヤモンドとエメラルドを散りばめております。このように豪奢な品は妃殿下にこそふさわしいかと」 「こちらの首飾りは金を贅沢に使ったもので、妃殿下の胸元を華やかに彩りましょう!」 「陛下、こちらのベールはいかがでございましょう! お座りになった時には邪魔にならぬよう淵に刺繍と大粒の真珠をあしらい、美しい染で全体を彩っております」 「こちらの耳飾は翡翠を使ったもので――」  次々と差し出される品々は最高級の物ばかりで、未だ庶民の感覚を持っているシェリダンは額に汗を浮かばせ口元を引きつらせているが、生まれながらの王族であるアルフレッドは冷静に品々を手に取ってはシェリダンに当てて似合うかどうかを吟味していた。 「金の見た目は最高のものだが、あまり重いと身体を痛めてしまう。それよりそちらの腰飾りを見せてくれ。それから、そなたが持っているベールに追加で紋の刺繍はできるか? その耳飾りも見せよ」  次々に指される品を商人たちは嬉々としてアルフレッドに見せる。そのすべてが目を見張るほど高価なものばかりで、シェリダンは思わずアルフレッドの袖を掴んだが、側にいるラーナがそっとシェリダンを止める。 「この程度であればどうということはございません。高官方もお勧めになっておられるようですから」  商人たちに聞こえないよう耳元でラーナに囁かれ、確かに経済を回すために使ってくれと嘗てはアルフレッドに言う立場であったシェリダンはその言葉に反論できず、掴んでいたアルフレッドの袖を放す。しかしどうしても値段を考えてしまい顔を青ざめさせるのは致し方のないことだろう。シェリダンは元々貧乏な名ばかりの下級貴族。金遣いの荒い義母や義妹にシェリダンの給金さえ消え、いつだって必要最低限のものさえ安い物を探して店を渡り歩いていたのだから。

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