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第3話

アキラさんはこの商店街で美容室をしている人。 背も高くてイケメン韓流スターに似てるとかで女子高生からマダムまで幅広く人気がある彼。 俺の髪も実は彼が切ってくれている。 「またジイとまーのパシりか?」 アキラさんはクスクスと笑う。 爺様のパシりなのは確か。俺は頷く。 店長をまーと呼ぶのは爺様とアキラさんだけ。 アキラさんは店長の幼なじみで30年来の友人。 密かに羨ましい俺。 「ユノ、髪伸びたなあ」 長い綺麗な指が俺の髪に触れる。 「そうなんですけど、金が……」 ちょっと苦笑い。 「カットモデルやる?無料だし、ちょっとなら金出るし」 「あっ」 そっか、って思った。 「やりたいです」 「ユノ、昼間っから大胆だな」 ニヤリと笑うアキラさんに俺は顔が一気に火照る。 「ち、ちが、髪です髪!」 テンパって声がデカくなりアキラさんの手が慌てたように俺の口を塞いだ。 「お前からかうとばり面白い」 クスクス笑うアキラさんに俺はさらに顔を赤く火照らせ照れる。 「んじゃ、月曜日に来いよ。」 「へ?月曜日休みでしょ?」 「だからだよ。」 ニコッと笑いアキラさんは店を出て行った。 とりあえず弁当を買い、ワンカップも買って写真屋に戻る。 「酒」 弁当より酒が先かい…………、 爺様が俺を待ち構えたように両手を出す。 その両手に乗せると爺様は握り締めたまま、家の中に。 写真屋は住居も兼ねているのだ。 ワンカップは爺様が飲むのではなく仏壇にお供えする為の物。 奥さん(店長のお祖母ちゃん)を亡くしてもう5年になる。 酒好きな奥さんに毎日ワンカップのお供え物。 だからお金足りなくても、良いかな?とか思う。

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