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さらさらと……7

散らばった写真を雅美さんが集めてくれた。 「ごめんなさい。何か仕事増やして」 へこむ俺。 「いいよ。ユノは何でも一生懸命でしょ?ついて来てくれて嬉しいんだよ。本当は心細かったから」 ニコッと微笑む雅美さん。 そう言って貰えてホッとした。 そして、俺も拾う手伝いをする。 写真には亡くなった奥さんも写っていて、 そして、学生服を着た男の子も。 「松信さんの息子さんだよ」 俺が聞く前に雅美さんが答える。 息子さん……居たんだ。 おばあちゃん(奥さん)しか知らない。 「一緒には?」 「喧嘩してね……家を飛び出したまま」 「どれくらい?」 「どれくらいかな?20年?30年はいってないかな?」 「連絡とかは?」 「奥さん生きてた時はね、松信さんに内緒で手紙のやり取りしてたんだけど……亡くなってからは」 「途絶えてるの?」 「ううん、ウチのじいちゃん宛にたまに来るよ」 「えっ?どうして?松信さんに送ればいいのに」 「そうだね、ユノのいう通りだよね。でも、長年のわだかまりが……溶けないのかもね。」 「でも、でも、寂しい!こんな広い家に1人は寂しいよ!」 ただでさえ日本家屋ってしんみりしているのに。 1人で住むものじゃない。 家族で住むものだ。 「ユノは良い子だね」 雅美さんは俺の頭を撫でる。 「確かに寂しいよね。松信さんは奥さん死んでからだった1人で苺を育ててる。……息子さんもね、それを知ってる。お葬式は影から見ていたし、命日やお盆には必ずお墓参りしているから」 「寂しいって知ってるのに、お墓参りには来るのに……松信さんに会いにくればいい!」 奥さんのお墓は近いって前に話しているのを聞いた。 後少し、勇気を出して歩いて行けば会えるのに! 「松信さんも息子さんもきっかけがないんだと思う」 「松信さんは?息子さんに会いに行けばいいのに」 俺は何故か必死だった。雅美さんに訴えてた所で本人達ではないからどうしようもないのに。 「松信さんはじいちゃんに何時も会いに来るでしょ?何しに来てると思う」 「知らない…」 「字を習いにだよ」 「えっ?」

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