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アツアツと……第12話

「ユノあまり自分撮らないでしょ?まあ、自撮りとか男の子はしないけど」 「そうだけど……いつのまに?」 「ユノが楽しそうだったから、これあげるね」 ふふっと笑って俺の頭を撫でた。 「アキラにも見せてあげるといいよ」 「うん」 俺はありがたく写真を貰った。そして、アキラさんにも見せようと思った。 「そろそろ、アキラ迎えに来るんじゃない?」 雅美さんに言われて時計を見たら確かにお店は閉まる時間。 すると、まるで盗聴器でも仕掛けられているのかと思うくらいのタイミングの良さでアキラさんからの着信。 電話に出ると「ユノ、まだ店にいるよね?」なんて聞かれた。 「うん」 「もうすぐ着くよ」 「じゃあ、外に出ますね」 俺は電話を切り、写真をまとめて鞄に入れた。 「また明日ねユノ」 ニコッと微笑む雅美さん。 「うん、また明日」 俺は雅美さんに手を振って、奥にいるじい様に帰るからって声をかけた。 駐車場に出るとアキラさんの車がもう待っていた。 助手席の窓を軽く叩くとカチッと鍵が開く音がしたのでドアを開けて乗り込む。 「おかえりユノ」 「アキラさんもおかえりなさい」 アキラさんは大きな手で俺の頭を撫でる。 シートベルトを閉めると車は走り出す。 走り出してふと、思った。確かに迎えに来てくれたりするけど、俺は今日、6時までだってアキラさん知ってるよね?なんで、店にいるよね?って電話してきたのだろうか? 「アキラさん、なんで俺が店にまだいるって知ってたの?」 「えっ?あ、それはまーが迎えにきてやってほしいって電話してきて」 「えっ?なんで?」 「ユノにちょっと説教しちゃって泣かせちゃったからって……で、遅くまで残業しちゃってるって」 えっ?ええっ?雅美さん!!説教って、そんなしてないのにいい!! 「ユノを泣かせてごめんって謝ってた」 「えっ、俺が勝手に泣いただけで!」 なんで雅美さんがそんな気にしてんの?おかしいじゃん! 「保護者だから……家族だから甘えてほしいって……まーが言ってた」 家族……保護者。雅美さん……。俺はまた泣きそうになった。 「ユノ……」 アキラさんは俺の頭をクシャクシャ撫でて「俺にもちゃんと甘えてな」と笑った。 「甘えんぼになってもいいと?」 「いいとよ?ユノ可愛いけん」 アキラさんの手は大きくて……優しい。雅美さんの手は男の人にしては細いけれど、優しい。 じい様の手も優しい。 凄いな……俺を撫でてくれる大人が3人もいる。すげえ、幸せじゃん俺。 ◆◆◆ 「アキラさんこれ」 家に着くと貰った写真をアキラさんに見せる。 「おお、なにこれ、ユノ可愛い」 アキラさんは写真に食いついている。 「雅美さんが俺が自分の写真撮らないからって」 「ああ、確かにな……でも、俺は持ってるぞ?ユノの写真」 「は?」 いつのまに?あ、前に一緒に海行ったときの?と思ったら「寝顔いっぱい撮ってる」とアキラさんはスマホを出すと俺の寝顔の写真をたくさん見せてきた。 ぎゃーー!!なにそれえええ!! 「ちょ、アキラさん何ですかそれ!!」 「ユノ可愛かねえ……本当は裸も撮りたいけど、それは犯罪やしな」 「アキラさんんん!!」 寝顔も犯罪ですよって言いたい。すげえ、恥ずかしい。 「変態って言われそうけど、ユノ寝顔ばり可愛いけんさあ」 ニヤニヤしながらスマホを見ている。 「消してくださいよおお」 俺はアキラさんのスマホを取ろうと手を伸ばすがその手を掴まれて、その場に押し倒された。 「色んな表情のユノを撮りたいって思う……寝顔も……まーが撮った笑っているユノも……あと、エロカワイイユノも」 「エロカワイイって」 何言ってるんですか?と言おうとしたら唇を塞がれた。 重ねられた唇からぬるりと舌が侵入してきた。 アキラさんのキスは熱い。 何度もキスされて……頭がぽーと熱くなってくる。 それと同時に雅美さんからの軽いキスを思い出してさらに熱くなった俺だった。

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