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あらあらと……4話
「俺……いつ寝たんですか?」
俺の問いかけにアキラさんは「ユノ……ごめん、本当にごめん……」と俺に近寄り謝る。
「どうしたんですか?」
俺はキョトン。
「ユノ……意識失ったんよ」
「は?」
アキラさん、今……なんて?
「途中でグッタリして……激しくし過ぎた。ユノの体力とあと……経験とか浅いし……」
しょんぼりとして謝るアキラさん。俺より大人でカッコよくて自信に溢れているように見えるのに目の前のアキラさんは叱られた子供みたい。
「大丈夫ですよ?あ、いま、何時ですか」
俺は仕事いかなきゃってベッドから降りようとするのをアキラさんが止める。
「ユノ、今日は仕事休んだ方がいい」
「へ?何言ってるんですか?俺、元気ですよ?」
俺を止めるアキラさんを押して床に足を下ろして立ち上がった。
そう、立ち上がったのに……フラっとなってその場にペタンと力なく座り込んだ。
「だから言っただろ?一昨日より激しくしたから……」
アキラさんは俺の脇の下に手を入れてよいしょってベッドに座らせた。
嘘やん!!歩けん!!
「だから勝手にまーに電話して休ませて欲しいって言った」
「はっ?えっ?えええっ!!」
ま、マジすか!なんて、なんて、言ったんですか!!
「体調不良って言ってるから大丈夫だよ」
アキラさんは俺の心を読んだのかそう言った。
「で、でも」
エッチで休むとかあ!!ありえないんですけどおお!!
俺は落ち込んでしまった。
「一緒に居てあげたいけど、予約入ってるから、あとはまーに」
「えっ?雅美さん?」
雅美さん?と思っていると玄関が開く音。そして、聞きなれた足音。
「ごめん、アキラ遅くなった」
雅美さんが入って来た。
雅美さんを見た瞬間……顔が赤くなるのが分かった。なんか……セックスしている現場を見られたような感覚。
「今、出るからユノに朝ご飯を」
「りょーかい!ユノ、起きて大丈夫なの?って、顔赤い……熱計った?」
「えっ?赤い……あ、微熱?」
アキラさんは俺をみてちょっと笑って、誤魔化すような事を言う。
「そっか、じゃあ、後は任せて」
雅美さんはアキラさんを送り出す。
2人で玄関へ。
その間、俺はシーツをかぶって動悸を懸命に正常にしようとしていた。
ドキドキする。ばり恥ずかしい!!エッチで歩けんとかダサい。もう、雅美さんの顔……見れん!!
なのに、俺の気持ちを知らずに「ユノ、朝ご飯食べたら薬飲もうか」と戻って来た。
「だ、大丈夫だから雅美さん店に戻って、じい様だけじゃ大変だから」
シーツをかぶったままに言う。まともに顔みれんし。
「また、そんな事言う!言っただろ?遠慮するなって」
雅美さんは強引にシーツを剥ぎ取った。
嘘やん!!雅美さん、細身なのに力だけは男だ。
「ほら、ご飯」
そう言って俺の身体を軽々抱き上げた。
「ちょー!!雅美さん!!」
驚いてバタバタする。
「はいはい、暴れると落ちるよ」
「だ、大丈夫です!歩けます」って言ったけど、俺……歩けなかった。
結局は連れて行かれてしまったのだった。
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