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あらあらと……5話
雅美さんはアキラさんが作ってくれた朝食を温め直して出してくれた。
「熱計る?」
飲もうとしたホットミルクを吹き出しそうだったのを堪えた。
「あ、あの雅美さん……俺、熱ないですし、仕事いきます」
体調不良でもないのに休めない。
「ダメだよ、無理しちゃ」
心配そうな雅美さんに本当に具合悪いとか思われているのが心苦しい。嘘つくのは嫌だ。でも、なんて言う?
「あ、あの、俺……体調不良とかじゃなくて……」
ううっ、なんて言おう。でも、行くとなると歩けないから。迷惑かける事になるかな?
「……ふふ、分かってるよ、アキラ激しいんでしょ?」
ふぁっー!!!
俺は口がポカンと空いてしまった。
「あはは、ビックリ顔可愛いね」
雅美さんは笑う。
どひゃーマジで?えっ?マジでバレてたの?
「そのシャツから見えてるとこ……すごいよ?あと、お姫様抱っこした時に足バタバタするから足の太ももとかね」
ひゃーー!!もう、だめだ!穴があったら入りたい。
そうだ、俺ってアキラさんのシャツだけだ。下着は穿いてるけど……なんて格好で雅美さんの前に居るんだよ。
「ユノ……真っ赤」
雅美さんは俺の近くに来ると頭を撫でた。
「アキラも手加減すればいいのに」
「えっ、あっ、違います!俺がさそっ……あっ!!」
俺、何言ってんの?自爆テロかよ。墓穴掘りまくり。
「誘ったの?ユノが?」
聞き返されると恥ずかしくなる。頷くと「色々悩んでたのにね」くしゃくしゃと髪を撫でられた。
「どういう風に誘ったの?」
ま、雅美さんんん!!何聞くんですかあ!
「ま、雅美さんからかってますか?」
顔が熱い。
「うん、だって、ユノ可愛いから」
ふふっと笑う雅美さん。
「結構、意地悪なんですね……」
「うん、そうだよ、意地悪だよ?だって、意地悪したくなるから」
雅美さんは頭に置いていた手を頬にもっていく。
「仕事に響くって反省しているなら……休みの前の日とかにしなきゃね」
雅美さんは座る俺目線に合せて姿勢を低くする。
「ごめんなさい」
「いや、これはアキラが悪い……手加減する事だって出来たのに」
この時の雅美さんの雰囲気がいつもと違うと思った。何をしても優しく微笑むのに。何か怒ってる感じがする。
「あ、あの、アキラさんは手加減しようとしたんですよ?俺が……」
と言いかけた時に唇に雅美さんの唇が触れて、俺は次の言葉を何を言うとしたのか忘れた。
「ふふ、ユノは謝りすぎ!」
いつもの雅美さんに戻ったみたいで、俺はキスされた事よりも優しい雅美さんに戻った事に安心した。
「とりあえず、今日はゆっくりだね。じい様に説明できないでしょ?」
その言葉に頷く。
そもそも歩けないんだもんなあ。
「じゃあ、食べてしまおうか」
ニコッと微笑まれて俺は食事を再開させた。
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