116 / 133

あらあらと……7話

「…………」 2本目の映画はやたらとラブシーンが多いというか、濡れ場が生々しい。 俺はちょっと恥ずかしくて直視できず、視線をチラチラそらす。 雅美さんは大人の余裕で見続けている。流石だ。 そして、ラブシーン……男女のもあるけど男同士のもある。 外国人は絵になるなあ。男同士キスしても。 ふと、俺とアキラさんが昨日した行為を思い出してまた顔が火照る。 雅美さん……平気で見れるって凄いなあ。まあ、俺が意識し過ぎなだけなんだけどね。 チラリと雅美さんを見ると横顔が綺麗だ。 キスシーツ、雅美さんなら似合いそう……なんて考えながら、さっき、キスされたのを思い出した。 雅美さんはスキンシップが多かった。子供時代も良く頭撫でられたし。ちゅって……キスして慰めてくれてたし。 あの時のままのキスかな?そうだよね?他にないよね? 俺は雅美さんの唇を見つめる。 子供の頃、雅美さんは美少年だった。女の子みたいな感じで。今は美青年だけど。 「ユノ、見すぎ」 その言葉でハッと我に返る。 「あ、いや、雅美さんは……その、ラブシーンとか人と見るの平気なのかなあって」 しどろもどろで言う。それが精一杯というか、考えていた事をズバリ言ってしまう俺のアホ!! 「ユノは平気じゃない?」 「照れます」 「アキラとやってるくせに?」 ふぁっー!!!また、また、この人はチクチクとおおー!やはりドSだこの人。 「や、やっても、他人のを見るのはまた違います」 俺は俯く。 「ふふ、可愛い反応」 頭を撫でられながらに言われた。 「……俺、なんか子供っぽいですかね?あまりって言うか体験なかったし、学生時代とか恋バナには参加できなかったし、っていうか興味なかったし、もっと、色んな体験をやってくれば良かったかな?」 俺はもう成人しているけれど、中身は何も成長していなくて、成人なんて言葉を使うのが申し訳ないくらい。 年取れば自然と成人と呼ばれて、精神が追いつかないんだ。 「……なんか、ごめんユノ」 雅美さんが俺の頭を自分の方へ引き寄せる。 「そんなへこむって思わなくて……反応が可愛すぎて……からかい過ぎたかな?」 元気ない言葉。俺はまた気を使わせている。 「違います!俺が勝手にへこんでるだけです!だって、子供っぽい」 「そこがいいんだけどねユノは嫌だろうけど」 「嫌ですよ!俺だって大人になりたいですもん」 顔を上げて雅美さんを見る。 「大人になって欲しくないなあ……ワガママだけど、可愛いユノでいて欲しいって思う」 「な、ならないとまずいでしょう?成人してるんだから」 「うーん、なんて言うか……確かに大人げないって言葉があるように大人らしくない態度を取る人の事を言うけどさ、またそれとは違うんだ。未経験のものを経験してこうやってはダメとか学んでいけばいいんだけど、じい様とかが経験値高いから凄いでしょ?ユノはちゃんと常識知ってるし、まあ、空気読みすぎだけど……ユノはユノでいいよ?無理しなくていいし、焦らずにね」 ニコッと微笑む雅美さん。 俺でいいって……俺ってどんな人間なのかな?良くわかんない。 「俺って……どんな奴ですか?」 「凄く可愛いよ?容姿もそうだし、中身も凄く可愛い。知らない事を知らないって相手に聞けて、嘘をつけなくて、人見知りで……まあ、この人見知りは僕は好きかな?だって、ほら日本犬みたいでしょ?他に懐かない。僕やじい様やアキラに懐く……貴一くん可哀想だけど」 クスクス笑う雅美さん。何でここで貴一?と思った。 「人に嫌われる要素はひとつもないよ?むしろ、好かれると思う」 「へ?俺、学生時代とか友達居なかったけど?」 「それはユノが作らなかったからでしょ?きっと、ユノと友達になりたい人居たと思うよ?」 確かに作らなかった。だって、仲良くなってもいつかは離れる。その場しのぎだけの友人とかなら要らない。 「僕はね……ユノは本当は怖がりなんだと思ってる」 「えっ?俺、ホラーとか好きですよ?心霊動画も見ますし」 この言葉に雅美さんは目を丸くした後に笑い出した。 「あはは、ユノが天然だって忘れてた」 なんか爆笑されてる。 「な、なんですか!天然って!」 「いいよ、いいよ、ユノはそのままで」 ばりばり笑いながら頭をくしゃくしゃ撫でられた。 「怖がりの意味が違うよ?ユノは人と深く付き合うのが怖いんだ」 ピシッと自分が固まったのが分かった。 「ユノのトラウマでしょ?……置いていかれるのが怖い」 心臓がドキドキとしてくる。確かにそう。近付いて……置いていかれるのは怖い。 「いつも言ってるでしょ?僕とじい様はユノを置いていかない。でも、不安なんだよね?だから、ユノが平気になるまで何度でも言ってあげるよ」 雅美さんは俺を引き寄せて抱き締めた。 「大丈夫、ずっと側にいるから……怖くなくなるまでちゃんと側にいるから安心して」 耳に届く優しい声と言葉。 雅美さんにぎゅっとしがみつく。 怖くないなんて……言いたいけど。本当はいつも怖い、不安で……。アキラさんも離れて行ったらどうしようって。 「ユノ……恋愛もね同じだよ?相手がいつか居なくなるかもって……思うでしょ?恋愛はね、いつかは別れ来るかもしれないけど来ないかもしれない。これはわかんないけどさ、相手がこれをしないと離れるかもとか、断ると離れるかも……とかそんな感情で流されるなら、それは違うから……」 雅美さんが何を言いたいのか分かった気がする。 アキラさんに求めた本当の理由を雅美さんは分かったからだ。 アキラさんが我慢しているのが分かってて……俺とセックスまで進みたいって感じてて。恋人なら身体許すのは当たり前かな?って。 アキラさんに触れられたいのもあったけど、俺の本音は……俺が嫌がる事で離れなれる事が怖かったんだ。

ともだちにシェアしよう!