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あらあらと……8話
「ユノはユノでゆっくりやればいいと思うよ?ちゃんとアキラも待ってくれると思うし」
雅美さんは……全部お見通しでこういう人が大人の男性っていうのかな?
雅美さんの恋人になれる人はいいなあ。今は恋人居ないみたいだけど、いつか……恋人ができて、その人にも俺みたいに愛情を注ぐのかな?
いいなあ……その人。
前に付き合っていた人も。きっと、癒されたに違いない。
「なーんてね、僕も昔はユノみたいに不器用でね……付き合っていた恋人と喧嘩いっぱいしたし、すれ違いもしたな。だから、別れたんだけどね」
雅美さんを見ると優しそうで切なそうな顔。まだ、好きなのかな?その人を。だから、1人なのかな?
聞きたいけれど聞けない。
「雅美さん……」
「何?」
聞こうとしたけれど、聞けなくて……なんでもないと雅美さんの胸に顔を寄せた。
心臓の音。……凄く気持ちいい。
「ユノ、眠いの?」
頭を撫でられて、目を閉じた。
俺……もっと早く生まれたかったな。
雅美さんとアキラさんの同級生としていたら。俺は友達になったと思う。
3人で遊んで、相談したり……色々とやってみたかったな。きっと、楽しいんだろなあ。
◆◆◆
「んー、」
ゴロンと寝返り打って……ふと、目をあけた。
目に映ったのは……寝室?
え!!寝室?
俺は起き上がった。ベッドに寝ている。
あれ?嘘……雅美さんと映画見ていたのに。まさか、寝っちゃった?
ベッドから降りる。少しマシになってて、なんとか歩けた。
「雅美さん?」
フラフラと歩いて雅美さんの名前を呼びながらリビングへ。
ソファーに雅美さんが寝ていてホッとした。
もしかして帰っちゃったかな?って。
顔を覗き込む。
凄く可愛い寝顔。普段、大人っぽいのにこういう時は幼く見える。
やっぱ、癒し系だな。
じっーと見つめる。まつ毛ながいなーとか、肌白いなあーとか、あと、唇。
薄いピンクで、やわらかそうで。
そういえば、この唇が俺の唇に触れたんだよね?
小さい頃から、キスされてたけど。
大きくなって、キスされたのは久しぶりだった。
雅美さんの唇を指先で触る。この前の感触と同じで……俺はつい、その唇にキスしてしまった。
まるで眠れる森の……って感じだったから。
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