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ザワザワと……2
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結局あまり眠れずに朝になってしまった。
ちょっと眠そうな俺を心配するアキラさん。
「あまり無理するなよ」
って頭撫でられた。
「うん」
店まで、また送って貰った。
アキラさんは本当に俺を甘やかす。でも、凄く嬉しい。
「アキラもマメだね」
後ろから雅美さんの声。
「おはようございます。じいちゃんは来てるの?」
振り向き、質問をする。
「おはようユノ。じいちゃんはさっき病院行ったよ」
なんだ、そうか…。
「午後からお見舞い行こうか?午前中は仕事入ってるから」
雅美さんはニコッと微笑む。
「はい」
俺が何を考えているか、アキラさんも雅美さんも読み取ってくれる。
きっと、俺が単純だから。
午前中、何時もより人が来た。
ほとんどが松信さんを心配して様子を聞きに来た人ばかりだったけどね。
松信さんはあまり話さないけど、
沢山の人達に愛されている。
凄いなあ。
だから午後は見舞いの品を沢山抱えて病院へ行く羽目になった。
「なんじゃこりゃ」
病院の玄関口まで迎えに来てくれた爺ちゃんが沢山の見舞い品を見て呟いた。
「商店街の皆からだよ」
「そーか、まあ、とりあえず病室行こうや」
と爺ちゃんが先を歩き出す。
「あー、ねーじいちゃん、病室行って大丈夫と?」
先を歩く爺ちゃんに話し掛ける。
「大丈夫。」
爺ちゃんの返事にほっとした。
もの凄く悪いんじゃないかと想像してしまったから。
だから病室に着いて、松信さんの姿を見れて不安が消えた。
点滴の管が何本かあったけど、
「坊主も一緒か」
と俺を見て発した声が元気で、良かった。
俺は松信さんに軽く会釈する。
「これ、商店街の皆から」
と雅美さんはベッドの側に備え付けてある台に持って来た見舞いの品を置く。
それをチラリと見た松信さんは、
「菓子は坊主が食え、おいは食事制限されとるけん」
と俺を見て言った。
遠慮するのも悪い気がして、頂く事にする。
「写真…撮れるとや?」
松信さんの視線は俺の手にあった。
「デジカメは軽いから片手で撮れます、一眼レフとかは片手じゃ無理だけど」
俺の答えに松信さんは、そうか。とだけ返事を返した。
そっか、俺の写真を好きって言ってたっけ?
「あの、明日、写真持ってきます。」
勢いで言ってはみたものの、断られたらどうしよう?
でも、 松信さんは頷いてくれた。
やった!何か嬉しい。
で、一番重要な息子さんの話は聞けなかった。
松信さんの前で聞けないし。
雅美さんにあまり長居すると迷惑だからと言うので1時間足らずで病院を出た。
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帰り道、
「ユノって、いつも鞄にカメラ入れてたよね?」
と雅美さんに聞かれた。
「うん」
「じゃあさ、松信さん家からの風景を撮ろう」
雅美さんの提案。
反対するわけもなく。
「うん」
と二つ返事。
そのまま、松信さんの家へ。
家に着くと、誰か居た。
俺が不審そうな顔をしたのが分かったのか、雅美さんが、
「松信さんの近所の人だよ。同じ、農家の人。松信さん、苺作ってるからさ、世話しに来てくれてる」
説明してくれた。
その誰かはこちらに気づき、
「あれ?まーちゃん?」
と近づいて来た。
雅美さんはペコリと頭を下げる。
「まーちゃん、久しぶりやな。元気や?」
「もちろん、あっ、この子はユノ」
雅美さんが俺を紹介するから、慌てて頭を下げる。
「最近の若い子は華奢で綺麗か顔しとるなあ、まーちゃんも良か男けどさ」
じいちゃんくらいの年齢の男性は人懐っこい笑顔を見せたので、警戒心が薄れた。
「なーんか、取ってつけたみたいな誉め方やね」
雅美さんも笑う。
「何ね?着替えでも取りに来たとや?」
「いや、風景撮りに。松信さん暫く入院だかさ、寂しくないように」
「そーや?あ、苺も撮れ。」
「うん、そうする」
雅美さんと俺は、この男性の後を付いて行く。
「あ、ユノ、あの人は田中さん」
田中さんと言うらしい。
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