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あらあらと……13話

◆◆◆ 「ユノ……どーした?その荷物」 貴一に会ったら俺の大荷物を突っ込んできた。 「お……弁当……貴一と写真撮りに行くって言ったら雅美さんとじい様とアキラさんが」 笑われるかな?と思いながら説明。 「弁当?へえ、いいなあ」 予想外に羨ましがられる。 「貴一の分もある」 「え!!マジで?嬉しい」 パァーっと、顔が笑顔になって嬉しそうにしてくれて俺は驚く。 引かれるかな?なんて勝手に思っていたから。 「でも、重そう……持つよ」 貴一は俺の荷物の1つを手にする。 「え、いいよ!」 もちろん遠慮する。 「俺も食べていいんだろ?だったら俺も手伝わなきゃ」 ニコッと笑う貴一。こういう時ってお礼言うんだよな? 「ありがとう……」 何でだろ?少し照れている自分がいて笑う。 「弁当楽しみだなあ。外で食べるのって格別美味いだろ?小学生の時は遠足とか楽しみだったし、高校もさ屋上とかで食べると美味しかった……ユノも屋上とか居ただろ?」 「へ?」 貴一の言葉に俺はそうだっけ?と記憶を辿る。 「そうだよ、いつも教室から居なくなって……学食かな?と思っても居ないしさ」 そう言われてみれば……俺は教室とかであまり食べなかった。 1人で食べるのがなんとなく気が抜けて良かったのだ。 って言うか……「貴一、もしかして俺の事探してた?」と思った。 「うん、そうだけど?」 何言ってんの?みたいな顔。 「約束とかしてないよな?」 「してないけど、食事って誰かと食べる方が美味しくない?」 そう聞かれて……あー、最近、楽しいと思うようになった。 前は1人でも平気だったのに、こっちに来て雅美さんやじい様やアキラさんと食べるようになると楽しいって気付いた。 「まあ……確かに」 「だろ?」 貴一は何故か凄く嬉しそうで……本当にコイツは何でも嬉しそうにするんだなって思った。 ◆◆◆ そして、電車を乗り継いで海にきた。 「これが夏なら日焼けするなあ……まだ、少し寒いから丁度いいかもな」 貴一が言う通りまだ夏には早い時期。 「夏の空って凄く綺麗な青だよな……海も冬は銀色なのにちゃんと青くなる……科学的に説明は今となれば出来るけど子供の時は不思議だったなあ」 空を見上げて貴一が言う。うん、確かにそうだ。 入道雲とか、子供の頃は乗れるって思ってたし。 「写真撮るぞ?」 俺は持ってきたカメラを出す。 「流石ユノ……いいカメラじゃん」 貴一が俺のカメラを見て誉めてくる。 「俺は初心者だからデジカメ」 ニコッと笑う貴一。 「スマホのカメラは今は画素数上がってるから綺麗に撮れるよ?」 「え?マジで?」 貴一は素直にスマホを出した。 「でもさあ、やっぱデジタルじゃなくて……現像するのがいいよなあ」 スマホで辺りを撮影しながら呟く貴一。 凄く楽しそうに写真を撮るっているのを見ていると和んだ。 本当に写真を教えて貰いたいみたいでその後は色々と質問された。 俺よりもじい様や雅美さんの方が道具やら写真の撮り方は上手いんだろうけど、俺でいいのだろうか?プロじゃないのに。 腹が減って弁当を食べようってなった時に聞いてみた。 「前にも言ったやん、ユノが撮る写真が好きって」 ストレートにきた。 写真を好きって言われるのは嬉しい。 「うお!美味そう」 弁当を開けると彩りが綺麗なオカズに貴一は目を輝かす。 俺も作っている所は見ていたが楽しみが減るだろ?とじい様にキッチンから出されて1人ソファーで終わるのを待っていた。 かなり美味しそう。 雅美さんもアキラさんも美味いから……あ、じい様も! 食べ盛りというか野郎2人なのであっという間に完食。 かなり美味しかった。 きっとそれは貴一が言っていたように外で食べているからと会話があったからだと思う。 たわいもない話。 写真についてとか……貴一のバイトの話とか写真屋にくる客の話とか……大事な話とかではなかったのに何でだろう?楽しかった。 1人で写真撮るのも楽しいけれど誰かと撮るのも楽しいんだって……分かった。

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