86 / 133

ゾクゾクと……11話

「あはは、ユノ、大丈夫だよ?収縮出来るんだから、解すっていうのは一時的に柔らかくするだけだよ、ちゃんと戻るから安心して。ただ、無理して入れると切れちゃうけどね……だから、解すんだけど……ローションかとか使ってね」 解すって……具体的にはどーするんだろ?俺には未知な世界。 「どうやって解すんですか?」 「そこ、聞いちゃう?ふふ」 雅美さんは笑って「指で愛撫するんだよ」と言った。 指……指を?あれ?どこに? 俺は考えた……。で、行き着いたのが指をアソコに入れるという考え。 「指で慣らしてあげて、少しづつ解すんだよ、あ、でも、ちゃんと下準備もあるよ?」 下準備って何? 俺はもう、いっぱいいっぱいだ。 「男同士のセックスは色々と大変なんだよ……でも、大変な分、大事にされていると分かるし気持ち良いしね。好きな人に抱かれるとか抱くとか凄く幸せだって気付くよ」 雅美さんから下準備から……その後も聞いて俺はもう……。 アキラさんが手を出してこないのはそういう事かと思って、そして、それで悩んだ自分が恥ずかしくなった。 思いやりだったのに、勝手に悩んで身体壊して……本当に俺って馬鹿。 「俺……いつも、自分の事ばっか……アキラさんが色々と考えてくれてるのに」 ばり凹む。 「自分の事ばかりでいいんじゃない?」 雅美さんは俺の頭を撫でる。 「裏を返せば皆、自分の事考えてる……アキラもユノを気遣う感じだけど、臆病になってる……ユノがこんなに悩んでいるのに気付かない」 「ちが、違う!アキラさんは悪くない」 俺は必死に訴える。違う……勝手に悩んだのは俺。勝手に体調崩したのも……自分だもん! 「ユノは優しいね」 また、雅美さんは俺の額にチュッとキスをする。 「自分の中にタメないでよユノ」 雅美さんは俺を見てニコっと微笑む。 凄く優しい顔。 そういえば、どうして別れたんだろ? 「雅美さん……恋人とはなんで別れたの?」 心で呟いたはずが声に出てしまい、俺は焦った。 「ん?……学生だったし、進学して……うーん、なんだろ?自然消滅みたいになったな」 「えっ?きちんと別れていなんですか?」 「うん……きっと、あれだな……2人とも臆病だからサヨナラが怖かったかな?」 サヨナラが怖い。……その気持ちだけは分かる。 もう、サヨナラは嫌だ。 だから、友達は作らなかった。 大事な人を作らずにいたのに……。 ここで出会ってしまった。 「ユノ、元気出たみたいだね」 頭をポンポンと軽く叩かれた。 「少し眠る?」 「ううん、まだ……このままがいい」 「いいよ、側に居てあげる」 雅美さんにギュッと抱きしめて貰うと安心する。 暫くして俺は凄く眠くなって、寝落ちしてしまった。

ともだちにシェアしよう!