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ゾクゾクと……12話

◆◆◆ 髪を撫でられる感じがして目を開けた。 「ユノ」 アキラさんが俺を見下ろしている。 「アキラさん……おかえり」 「ただいま」 アキラさんは微笑んで俺の頭を撫でると「ごめんね、ユノ」と謝った。 どうして謝っているのだろう?と思ったけれど「まーに聞いた……」と言われて、恥ずかしくなった。 雅美さんに言ったのだからアキラさんに伝わるっては分かっていたけれど、実際に伝わって謝られると申し訳ないというか……恥ずかしさもあるし。あと、謝る必要はない。 だって、俺が勝手に悩んでいただけだもん! 「違うよ、俺が勝手に悩んでいただけアキラさんは俺を大事にしてくれているのに」 起き上がろうとしたけど、アキラさんに戻された。 「ユノ……俺、臆病なんだよ」 頭を撫でながらに言う。 「ユノに嫌われるのが怖い……だから手を出せない」 「き、嫌いません!」 「うん、そうだよね……でも、怖くてさ……傷つけるんじゃないかって」 「それはあの……う、後ろの事……ですか?」 言葉にして一気に恥ずかしくなった。 顔が熱い。 アキラさんは一瞬ビックリしたような顔をして、その後に笑った。 「違うよ!心!!心の事だよ」 アキラさんは俺の心臓近くを指でつん!とつついた。 あっ…………、 やってしまった!!恥ずかしいい!! 雅美さんが出血したって言ったからてっきり……ああ、そうか心か。 俺ってやっぱりエッチだ。 「ユノ、顔赤いぞ」 指摘されるともっと顔が熱くなる。 「ユノが流されているんじゃないかって、本当は女の子とこういう事をさせないとダメなんじゃないかって考えてしまって……告白したのは俺なのに」 アキラさんも悩んでいる。それが分かった。 「そうですよ!!告白したのアキラさんでしょ?責任取ってくださいよ!!」 俺は起き上がりアキラさんに抱き着いた。 「さっさと抱いてください」 ギュッとしがみついて大胆な事を言ってしまった。 「そうだね」 アキラさんも俺の背中に両手を回してギュッと抱きしめた。 「じゃあ……今日は身体休めて」 「ストップですアキラさん!!ここは抱くとこでしょ?お風呂入りましょ?」 俺はアキラさんの顔を見てそう言った。 やれば出来るというか、覚悟を決めれば大胆な事もちゃんと言える。 そうか……俺もちゃんと覚悟していなかったんだ。 だから、伝わらなかったんだ……。 「うん、入ろうか」 アキラさんは俺をまた、ギュッと抱きしめた。

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