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第5話

あっ、お茶要るかな?とか考えて湯飲みを取りに行こうとする俺を止めるように雅美さんに腕を掴まれた。 「大丈夫、ユノはお弁当食べてて」 ニコッと笑う雅美さん。 癒やされる! 「はい」 俺は雅美さんには聞き分けが良い子になるので素直に弁当を食べ始めた。 で、2時間くらいしてマツノブさんが写真を撮りに奧から爺様と出て来た。 「ユノ、用意手伝って」 「はい」 雅美さんに呼ばれて撮影準備の手伝いをする。 マツノブさんはいつも椅子を小道具に使う。 でも座る位置がいつも不思議に思ってしまう位置なのだ。 真ん中ではなく、右寄り。 椅子を何時もの場所にセッティングして光調整もする。 ふと、ファインダーを覗いている雅美さんが視界に入って来た。 何時もはふんわりとした雰囲気なのに、写真撮る時は凄く格好いい。 用意も整い、撮影が始まる。 遠くから見ている俺の横にいつの間にか爺様が居た。 相変わらず気配ナシ。 「最近、何ば撮った?」 「えっ?」 爺様は主語なしで話掛けてくるのは日常的なんだけど、慣れないぜ。 「写真ったい、こん前一日中出ったやろ、どっか行ったんやろ」 「能古島(のこのしま)までチャリで行った」 「アホやろお前」 能古島(のこのしま)は電車とかで乗り継いで一時間半はかかる場所。 「チャリの方が金かからんし、好きな場所で景色も見れるやん」 「じゃ、何か撮ったや?」 「海とか花とか鳥」 「はー、もう、気の利かんなお前、何で綺麗か姉ちゃんのパンチラとか撮らんとや」 「そい盗撮やし」 「写真みせてんね?」 爺様は手を出す。 「パンチラも綺麗かお姉さんも映っとらんけど?」 「良かけん見しぇろや」 身体をど突かれ仕方なくカメラを鞄から出した。 デジカメとアナログのカメラの両方で撮った。 デジカメの画像を爺様は真剣に見ている。 パンチラないのになあ。 しかもパンチラとか言い方昭和やし。 「こん写真現像して良かや?」 そう言われたのは夕焼けの写真。 「良かよ」 返事をすると爺様は写真をプリントアウトし始める。

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