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第7話

****** 月曜日。 お昼過ぎにアキラさんが居る美容室へ来た。 ドアを開けて中を覗く。 「ユノ。待ってたぞ」 ニコッと微笑むアキラさん。 休みだからかな?雰囲気が違う。 前髪下ろしてラフな格好。 20代に見える。 「アキラさん前髪下ろすとヤングですね」 「ヤングって………爺様と会話し過ぎだな」 クスクス笑うアキラさんは俺を椅子までエスコートしてくれた。 美容室の椅子って凄く気持ち良いよね?俺だけかな? 「髪も染める?」 鏡越しに聞かれる。 「カットだけで十分です」 「んじゃあ、もう少し明るい茶色にする?」 「あの、話聞いてます?」 カットだけで良いと言うのにアキラさんはカラーの用意までし始める。 爺様といい、 マツノブさんといい、 博多の人はあまり話聞かない気がするよ。 「ユノって毎週月曜日が休みなんか?」 ハサミを手にアキラさんは鏡越しに俺を見ている。 「別に決まってないです」 「この前も休みだったろ?西区辺りをチャリで移動してるのを見た」 この前? あ、能古島。 「アキラさん西区ですっけ?」 「たまたま、車走らせてた」 「ドライブですか?」 「うんにゃ、営業」 「休みの日も?大変ですね」 「ユノは何してたんだ?」 「能古島までチャリで」 「チャリで?」 「はい」 「ユノ、アホなんか?」 また来たよ、このパターン。 だいたい都会の人は車とか電車とか使い過ぎ! 俺はチャリでどこまでも行ける。 「爺様にも言われたし」 「で、何してたんだ?」 「写真とか撮ったりぼーっとしてました」 「まさかの、ぼーっとしてました?ユノ、お前…………中身、年寄りか?」 「何でですか?」 「俺の甥っ子も21だけどさ、女の子とちちくりあったり、合コンしたり色々やってんぞ」 甥っ子さん半分以上が女の子と過ごしてんだなあ。 「興味ないですから」 「女の子に?」 「はい。………あ、違います、変な意味じゃなくて」 やべえ、テンパる!

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