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第8話

「何テンパってんの?」 クスクス笑うアキラさん。 照れてしまうじゃないか。 「ずっと彼女いねーの?」 「いない………変ッスかね?」 「勿体無いなあって」 「女の子と付き合わない事が?」 「いんや、ユノと付き合わない女の子が」 キョトンとなる。 「お前さ、綺麗な顔してんだぞ?」 アキラさんと鏡越しで目が合う。 違う。 綺麗なのは雅美さんとか、 アキラさんはイケメンだけど。 「眼科行った方がいいッスよ」 「俺、両目2・0」 「無駄に目、いいッスね」 「なあ、好きな子もいない?」 「うん」 返事をしたけど、気になる人が居る。 きっと、人間的に好きなんだと思う。 「じゃあさ、俺と付き合わない?」 「どこに?中州とかですか?」 アキラさんは良く中州に飲みに行くって言ってた。 アキラさんが急に笑い出す。 「ユノ、天然?」 天然? いんや、髪はストレート。 「くせっ毛じゃないと思うけれど?」 髪を切ってるから、てっきりくせっ毛かと聞かれてるかと思ってたら、 アキラさんの顔が近づき、 チュッて唇に何か触れた。 アキラさんの唇だって理解するのは相当早くて、 「奪っちゃった………って前に松嶋ななこがCMで言ってたよな」 …………………………………………っ、 「ユノ?」 手のひらを目の前でヒラヒラされて覚醒。 「おわっ、ユノ!ごめん!泣くな」 いつも冷静なアキラさんが慌てふためいていて、鏡に映る自分見て、 泣いてるのに気付いた。 「やばい、ごめんユノ!ファーストキスだった?だよな?付き合った事ないなら、マジでごめん」 謝るアキラさん。 こんな風に慌てたりするんだ。何か新鮮。 「ユノ、何か言って」 不安そうなアキラさん。 「アキラさんもテンパるんですね」 涙をゴシゴシ拭いてアキラさんを見た。 「そりゃあ、テンパるよ泣くんだもんよ」 俺が言葉を話したから安心したようなアキラさんの顔。

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