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2話
「こういうのも初めてなん?」
「はい」
「そっか、じゃあ俺が初めてなんだな」
アキラさんの声が何だか嬉しそうで俺まで嬉しくなる。
「じゃあ、ドライブしようか」
名残惜しそうに俺から離れるとアキラさんは車を走らせる。
夜の都市高速は綺麗だ。
街の灯りが地上の星みたい。
海も見えるからユラユラ揺れる明かりが幻想的。
窓の外を見ていると、頭にフワリと手が置かれた。
振り向くと、
「なーんか子供みたいで可愛いかねえユノは」
なんてクスクス笑われた。
恥ずかしくて俯く。
「何食べたい?」
そう聞かれて、
「ラーメン」
と即答。
「えっ?ラーメン?」
「松浜ラーメンが食べたい」
俺はめっちゃラーメンが好き!
休みの日はラーメン屋巡りをするくらい。
「ラーメンかあ、OK!」
アキラさんはまだ笑っている。
笑い上戸なのかな?
新たな一面を見たって感じがして、何だか嬉しくなった。
都市高降りてラーメン屋に向かう。
「ユノ、誰かに髪型変えたのを見せた?」
「あ、雅美さんに」
「まーは何って?」
「似合うって。……それと幼く見えるって」
「あー、確かに」
アキラさんは俺を見て微笑む。
「むっー自分でしたくせに」
幼いとか言われても正直嬉しくはない。
「ユノは短いのが似合うから仕方ない。」
アキラさんにサラリと髪を撫でられた。
アキラさんの指先が視界に入る。
長くて綺麗な指。
やっぱ、好きだなアキラさんの指。
「そんな見つめんな、チュウしたくなる」
アキラさんは黙って指を見ていた俺にそう言った。
チュウ……。
美容室でのキスを思い出した。
そっか、
あれは初めてのチュウだったよなあ。
今更だけど。
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