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5話
一目惚れなんだ俺の事。
「そうなんですか?」
「実はそうなんです」
耳まで赤いよ。アキラさん……。
「ユノがまーんとこに来た時に引っ越しの手伝いしただろ?あん時にああ、可愛い子だなあって……だからさ、髪切りに来てくれるようになってめちゃめちゃ嬉しかったとよ」
そう、俺は高校卒業と共に雅美さんの借家に引っ越して来た。
18だったから4年?
「オッサンがキモいとかどん引きすんなよ?」
アキラさんはちょい怯えたような顔。
「思いません」
即答。
「良かった」
ホッとした表情に戻る。
「むしろ、申し訳ないです」
「何故に!」
アキラさんの突っ込み早い!
「だって、友達も居ない暗い奴ですよ?休みといえば写真撮るか部屋でぼーっとするか、本当につまんない奴なのに」
それに比べてアキラさんはカッコイイ!
手に職持っているし、腕前は尊敬に値するし、友達多いし、お金持ちだし、店もアキラさんのだし、なんか申し訳ない。
「な、何ば言いよっとか!ユノは自分がどんだけ可愛いか知らなすぎ!写真の腕前はばり良かって商店街では有名ぞ?写真屋のショーケースの写真が変わるのば楽しみにしとる奴らいっぱい居るぞ?」
なんか力説されてるけど……
とりあえずお礼を言おう。
「ありがとうございます」
頭も下げた。
「どう致しまして」
「話戻して良いですか?」
「えっ?また戻るの?こっぱずかしいかとけど?」
ああ、そうなんですか?
「じゃあ、話題変えます」
「えっ?聞かんの?」
またまた早い突っ込み。
「どっちなんですか?」
「聞いて欲しいかも」
アキラさんはそう言って照れくさそうに笑う。
あー、この人、やっぱ最高かも。
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