18 / 133

6話

「ユノに告白したのは賭けだった」 「賭け?」 「西区辺りでユノを見たって言ったろ?あの時会った人から東京に来ないかって言われてさ、もし、ユノに振られたら東京に行こうって」 「えっ?何スかソレ?人生左右するような話とかじゃ?」 俺は驚いてアキラさんを見た。 「うんにゃ、そがんとじゃ何かと」 アキラさんは俺の頭をワシワシと撫で、 「振られたらさ未練残るし、顔合わせるの切ないし、ユノも気まずいやろ?逃げるってだけ。あの店は俺のだし、地元離れてる気はない」 そう言って笑う。 「そうなんですか」 「そうなんですよ。だから試し期間でも嬉しい」 「そっか、良かった。アキラさん東京行かなくて」 俺はアキラさんに笑いかけた。 「ユノ、その顔は他にはすんなよ?」 「へ?」 「可愛いから!俺にだけ見せてよ」 アキラさんの綺麗な指が頬に触れた。 「はい」 「よし、指切り」 アキラさんは子供みたいで可愛い所がある。 いいなあって思う。 ****** アキラさんオススメパスタは閉まっていた。 その後、数軒回るが時間的に無理だった。 「ごめんユノ、初デートが」 凹むアキラさん。 「アキラさん、コンビニ寄りましょう、で、俺が行きたい場所連れてって下さい」 俺の提案に快く承諾してくれて食料ゲットして俺が行きたい所へ。 夜の海岸。 今夜は満月だから夜の海は綺麗。 「夜の海かあ、ユノは案外乙女?」 海岸をアキラさんと歩く。 「たまに来るんですチャリで」 俺は適当に座るとガサガサいわせながらコンビニの袋を漁る。 「夜の海に?」 アキラさんも横に座る。 「車とか人とか来ないから波の音が凄く聞こえるし、写真とかも神秘的に撮れるんです」 「綺麗に映るのか?」 「満月の光って侮れないんですよ。それにカメラも性能良いし」 俺は背中に背負ってるバッグからカメラを取り出す。 「いつも持ってんの?」 「はい。自分が綺麗だなって思ったものを直ぐ撮れるように」 そう言ってアキラさんにカメラを向ける。

ともだちにシェアしよう!