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6話
「ユノに告白したのは賭けだった」
「賭け?」
「西区辺りでユノを見たって言ったろ?あの時会った人から東京に来ないかって言われてさ、もし、ユノに振られたら東京に行こうって」
「えっ?何スかソレ?人生左右するような話とかじゃ?」
俺は驚いてアキラさんを見た。
「うんにゃ、そがんとじゃ何かと」
アキラさんは俺の頭をワシワシと撫で、
「振られたらさ未練残るし、顔合わせるの切ないし、ユノも気まずいやろ?逃げるってだけ。あの店は俺のだし、地元離れてる気はない」
そう言って笑う。
「そうなんですか」
「そうなんですよ。だから試し期間でも嬉しい」
「そっか、良かった。アキラさん東京行かなくて」
俺はアキラさんに笑いかけた。
「ユノ、その顔は他にはすんなよ?」
「へ?」
「可愛いから!俺にだけ見せてよ」
アキラさんの綺麗な指が頬に触れた。
「はい」
「よし、指切り」
アキラさんは子供みたいで可愛い所がある。
いいなあって思う。
******
アキラさんオススメパスタは閉まっていた。
その後、数軒回るが時間的に無理だった。
「ごめんユノ、初デートが」
凹むアキラさん。
「アキラさん、コンビニ寄りましょう、で、俺が行きたい場所連れてって下さい」
俺の提案に快く承諾してくれて食料ゲットして俺が行きたい所へ。
夜の海岸。
今夜は満月だから夜の海は綺麗。
「夜の海かあ、ユノは案外乙女?」
海岸をアキラさんと歩く。
「たまに来るんですチャリで」
俺は適当に座るとガサガサいわせながらコンビニの袋を漁る。
「夜の海に?」
アキラさんも横に座る。
「車とか人とか来ないから波の音が凄く聞こえるし、写真とかも神秘的に撮れるんです」
「綺麗に映るのか?」
「満月の光って侮れないんですよ。それにカメラも性能良いし」
俺は背中に背負ってるバッグからカメラを取り出す。
「いつも持ってんの?」
「はい。自分が綺麗だなって思ったものを直ぐ撮れるように」
そう言ってアキラさんにカメラを向ける。
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