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8話

真っ暗な中、温かい感触と息遣い。 俺のお腹辺りにあるアキラさんの両手に力が入るのも分かった。 くっついた唇が離れたから目を開けた。 「ユノ、深いキスしてもいい?」 直ぐに目に飛び込んできた照れた顔のアキラさん。 「深いキス?」 「そう、深いキス…目、閉じろ」 言われた通りに目を閉じると唇にアキラさんの唇の感触。 そして、俺の唇にヌルリとした柔らかいものが当たる。 それは俺の口の中に入りたいみたいで、俺は薄く口を開く。 クチュッて小さく音がした。 俺の中に入ってきたのはアキラさんの舌。 俺の舌を捕まえるように絡んできた。 お腹辺りにあったアキラさんの手が俺の頭に置かれ、髪を撫で始めた。 ヌルヌルしたアキラさんの舌は激しく絡んできて、唾液の音が波の音と一緒に聞こえる。 俺も絡めた方が良いのかな? アキラさんの舌に自分のを絡めた。 すると、キスがさっきより激しくなってきて、アキラさんの唇が離れたり、くっついたり、絡む舌も次第に熱く感じた。 息遣いが次第に荒くなってきて、 頭がぼーっとしてくる。 長くキスをしていた感じがして、キスって長く出来るもんだと知った。 「ユノ…」 アキラさんの唇は俺の名前を呼びながら頬や額にもキスをしていく。 「ユノ好きだよ」 耳元で囁かれながらキスを受けた。 目を閉じたまま感じるのはアキラさんが俺を好きってこと。 キスが終わり、 「ディープキスの感想は?」 と聞かれた。 「頭がぼーっとしてます」 感じたままに言葉にした。 「それは良かったって意味?」 多分、そう。 俺は頷く。 「良かった。ユノはキス初めてだからさ、どん引きするかな?っち思ったけど、ユノも絡めてきてくれたもんな」 アキラさんは俺をぎゅっと抱きしめて顔をすり寄せた。 「アキラさんの真似してみました」 「良く出来ました」 アキラさんはそう言って笑った。 ***** しばらく海を眺めて車に戻った。 シートベルトを閉めながら、ふとお礼を言っていないのを思い出して、 「ありがとうございます。初デート楽しかったです」 とお礼を言った。 「そうか?」 「はい。初ディープキスも出来ましたし」 真顔で言ったらアキラさんは吹き出した。 「ユノ、本当にお前いいなあ」 綺麗な指が俺の目の前に来たから、つい、掴んでしまった。 「ユノ?」 どうしたの?って顔で首を傾げるアキラさん。 本当にどうしたのかな俺。 アキラさんの指に自分の指を絡めて手を繋いだ。 「ユノ」 アキラさんは凄く照れた顔をして、その後俺の方へと近付いて来たから目を閉じた。 近付くと目を閉じる………… パブロフの犬か俺は? アキラさんの唇が重なり、さっき覚えたばかりのディープキスをする。 手を繋いだままだからアキラさんの指がキツく絡んで、息遣いも荒い。 アキラさんキス好きなのかな? 唇が離れた瞬間に、 「好き…」 と主語もなく言葉にしたら、 アキラさんは嬉しそうに、 「ユノ、俺もユノが好き」 とぎゅっと抱きしめられてしまった。 ああ、好きだけじゃ勘違いしちゃうよね? でも、凄く嬉しそうに笑うから、 「アキラさん好きです」 と言葉にした。 「もう一回」 「好きです」 「もう一回」 アキラさんにお願いされて好きって言おうと口を開けると、そこにキスされて……舌が絡んできた。 真横でカチって音がしたと思ったら座席が倒された。 アキラさんの体重がかかるなか、何度もキスをした。 今日だけで……何回キスしたかな? 本当にアキラさんキス好きなんだなあ。 唇以外にも首とか耳とかキスされて、次第に服の中に手が入ってきてアキラさんの指が俺の胸を触り出した。 「アキラさん……俺おっぱい無いですよ?」 その言葉に俺の上にいるアキラさんは大爆笑した。

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