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5話
えっ?えっ?入るの?
あんな大きいの……
裂けたりしないの?
俺の疑問をよそに全部入っちゃって、男は女の子を抱くみたいに腰を動かした。
うわっ、わわっ、
すごい………
男子、凄く喘いでる。
『あん、気持ちいいよーあきら、もっとー』
へ?アキラさんと同じ名前。
どひゃー、リアル過ぎて恥ずかしい!
俺は動画を閉じた。
やばい、心臓バクバク。
次を開く。
『あんっ、いくう』
こっちはバックかあぁぁーっ、
だめ、刺激強すぎ。
ち、違うて動画みよう、
あ、ネコ!ネコみよう!
動画を再生。
にゃー、
可愛い子猫の動画。
癒やされる。
そうだ、一旦リセットだもん!
「ユノ、ネコ飼いたいの?」
背後で雅美さんの声。
「うわあぁぁーっ、」
いつ、いつから居たの?
「ユノ、ビックリさせちゃった?一応呼んだんだよ」
ニコッと笑う雅美さん。
「ご、ごめんなさい」
「ネコに夢中だったからね。ネコ可愛いよね」
雅美さんも動画を見入る。
良かった、エッチな動画見てたのバレてない。
「雅美さんもネコ好きなんスね」
平静を取り戻せ俺よ!
「好きだよ可愛いもん、なんかユノみたいだよね」
「えっ?」
「目がクリクリして表情もコロコロ変わって、そして、しなやか」
「の、野良猫スか?」
「ううん、アビシニアンかコラットかロシアンブルーかな?」
「血統書つきっぽい名前ですね、俺はミケとかキジネコが似合うと思う」
「ううん、ユノは血統書つきの猫だよ。」
そう言う雅美さんもネコっぽい。
「アキラさんは犬ですよね、しかも大型犬」
「あー、確かに!シェパードとかハスキー犬?」
「秋田犬は?」
「あ~っぽいね」
雅美さんクスクス笑って可愛い。
雅美さんはモテそう。
「雅美さんは付き合ってどれくらいでエッチとかしますか?」
「えっ?」
あっ、しまったーっ!
つい、思った疑問を口にしてしまった。
「何でもないです。忘れて」
俺はテンパって、カチカチとクリックしてしまい、画面があの場面に戻った。
やばーっ!
俺は瞬時に電源をOFFった。
雅美さん、俺を見てたからエッチな動画見てないよね?
「ユノ、彼女出来た?」
雅美さん見てないみたいでホッ、
「違うよ、今の質問は忘れて」
俺は笑って誤魔化す。
「僕はね、付き合ってから半年掛かったかなあ?」
「えっ?いくつの時?」
雅美さんの答えに俺は食いつく。
「高1」
「初体験ですか?」
「そうだね、初体験だった」
そうかあ。皆、早いんだな。
でも、俺は一生体験しないと思ってたし、そう考えると早い体験になるのかな?
「そっかあ、ユノにも好きな子出来たんだ。何時までも子供じゃないよね…」
雅美さんは俺に微笑んでくれた。
「子供だよ、体験ないし」
「キスは?」
「した」
つい、正直に答えてしまって恥ずかしくなる。
「焦らずにゆっくり体験していけば良いんじゃないかな?まあ、女の子の方が積極的だけどね」
雅美さんに頭を撫でられた。
あ、そっか女の子だと思ってるんだ雅美さん。
「女の子じゃないです」
「えっ?」
「キスした相手、女の子じゃないです」
女の子じゃない。
アキラさん。
ここで、うん。って言ってしまうと告白してくれたアキラさんに失礼だ。
違うとか否定したくない。
「えっ?じゃあ年上?」
真顔で返す雅美さん。
いやいやいや、さすが雅美さんだ。
「それも違います。女性じゃないんです」
雅美さんは答えが分かったのか黙ってしまった。
もしかして、雅美さんは男とキスしたりするのを嫌いな人?
でも、それでもいい。
「ユノ」
雅美さんは俺を見つめて、
「キスの相手ってアキラ?」
と言葉にした。
えっ、ええっーっ!
いきなりビンゴ!
「アキラなんだ、ユノ、顔真っ赤」
雅美さんはクスクス笑う。
俺、顔赤いんだ。
「そっかあアキラか。じゃあ納得だな。アキラがここに来てるのもユノの好物聞いてくるのも……なんだあ、アキラも言ってくれたら良いのに」
雅美さんは何時もと変わらずニコニコで嬉しくなった。
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