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2話-2
七年前、俺はまだ高校生で、間宮さんもまだ二十代だった。
割りとアホな部類の俺は、高校生にも関わらず近所の公園で野球をしていた。
そんなに広くない、何の設備もない公園で、だ。
高校生程度がフルスイングすれば、その打球はあっという間に民家へ行ってしまう。
ガシャン。
そして無情にも、それは現実に。
「叶が打ったんだから、叶が取りにいけよ」
「……わかった、俺が生きて戻ったら、また野球しような」
「……ああ、絶対だぞ」
無駄にフラグを立てて、俺はボールの飛び込んだ家に飛び込んだ。
その家は近所でも有名な、でかい平屋の家だった。
数年前には爺さんが住んでいたのを覚えている。
その爺さんが亡くなってからは、息子だか孫だかが家を引き取ったらしい。
けれど、その息子だか孫だかが本当に暮らしているのか、近所の人もあまり知らない。
ただ、時折若い男が縁側に居るのを公園や垣根越しに見ただとか、何日かに一回スーツの男が訪れるだとかが、噂されていた。
あのスーツの男は誰なのか?
本当にあの家に人は住んでいるのか?
スーツの男が身寄りのない若い男を囲っている、なんて噂までたっていた。
俺は今、その真相に迫ろうとしていた。
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