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2話-3
ピンポーン。
「間宮」という表札の下のチャイムを鳴らした。
正直、出てこないでくれと願っていた。
でかい家に野球のボールを打ち込んだんだなんて、漫画みたいなこと。
どれだけ金を請求されるのか、想像しただけでも震え上がる。
貯金なんてないし、親に話して弁償だろ。
完全に窓ガラスを割った音がしていたけど、ガラスって一体いくらくらいするものなんだ?
ウん十万とかするんだろうか。
だとしたら俺の小遣いは数年に渡りナシだろうな。
とほほ……なんて効果音を脳内で補完しながら、おや?と気づく。
反応ないな。
もしかして、家の人いないのか?
だとしたらラッキー、帰ろう。
そうやって帰れればいいのに。
結局野球のボールもあるし、逃げるなんて男らしくない。
でも、もう一回鳴らして出なかったら、帰ろう。
そしてこの公園で遊ぶのは二度とやめよう。
俺は意を決して、二度目のチャイムを鳴らした。
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