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2話-5
「……中入って」
「……え?」
俺が男の声に顔を上げると、男はくるっと背を向け、すたすたと歩いて行ってしまった。
ついて来いって事か?
俺は慌てて、靴を脱いで後を追った。
読めない人だった。
怒るでもなく、中に入れと。
なんだか逆に薄気味悪い。
男に囲われてる噂もあったしな。
まさか俺もそれに仲間入りさせられるのか?
そんなの嫌だ……俺は女の子といい事したい……。
なんて考えていたら、男は一番奥まった部屋の前で立ち止まる。
体を半身にして、俺を見た。
どうやら、その部屋を見るように促しているらしい。
……俺のボールが、ガラスを割った部屋だろうか。
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