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2話-11
何時に行けばいいのかもわからなかったが、とりあえず10時にあの男の家へ行った。
ピンポーン。
昨日よりもすんなりと押せるチャイム。
チャイムから少しして、中から「どうぞ」と聞こえた。
どうやらインターホンがないらしい。
チャイムが鳴ってからいちいち玄関まで来るのは、広い家では割りと大変だと思った。
「あ、おはようございます。いつ来ればいいのか、わからなかったんですけど」
引き戸を開けると、浴衣を着た男がいる。
「ああ、ちょうどよかった。松本」
男は俺を見ると、奥の部屋を向いて誰かを呼んだ。
すると、青い顔をしたスーツの男が、あの窓の割れた部屋から出て来た。
どうやら松本と言うのは、この男のことらしい。
「なんですか間宮さん、部屋は悲惨だし腕は怪我するし、これ以上問題増やさないでください」
沈んだ声で松本が言う。
男は、表札の通り間宮さんというのか。
松本はどうやら、俺には気付いていないようだ。
「彼、僕の左手になるらしいから」
「は?」
松本が顔を上げ、怪訝な目で俺を見た。
確かに、間宮さんの言い方だと、俺が何者なのかわけがわからないな。
「そもそも、どちら様なんですか、彼は」
松本は俺を上から下まで眺めて、間宮さんを見る。
間宮さんは俺を見て首を傾げた。
「そう言えば君、名前は?」
「あ、え、叶、です」
「だって。叶くん、僕の左手の代わりになってくれるらしいから」
マイペースな間宮さんに、松本は頭を抱えた。
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