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ちょっと待ってよ、間宮さん!

「ちょ、ちょっと、待ってください」  下を脱いだ叶くんをバスタブの淵に座らせると、彼は怖気付いたのか声をあげた。 「いいよ。ちょっと。はい、待ったよ」 「そんな、子供みたいな事……!」  足元に僕が屈んだ時には、口淫でもされる事を期待したのか、小さな叶くんは半ばほどまで硬くなっていた。  そこに剃刀を差し出せば、困惑して小さな叶くんも元に戻ってしまう。 「あんまり動かれると、切り落としてしまうかもね」 「ヒイ……」  小さい叶くんを万が一切り落としてしまったとしても、綺麗に標本にして飾っておこう。なんて、小説のネタにしても猟奇的過ぎてイマイチだろう。  ああ、いけない。  僕は意識を手元に戻し、叶くんの柔らかな茂みにシェービングジェルを塗った。  体感で冷たかったのだろう、叶くんは小さく声をあげた。それはどこか艶っぽくて、いやらしい気持ちを沸き立たせる。 「透明なジェルだから、よく見えるね」 「ん……そう、ですね」  ぬるぬると擦り付けるさまは、シェービングジェルと言うよりローションに近かった。いっそ、ローションでも良かったのではないかとも今更思う。  一方、叶くんはまさしくローションでいやらしい事をされている気分になったらしく、小さな叶くんを再び硬くさせた。  彼はしきりに歳をとったなんて言うけれど、ここだけ見ればまだまだ若さがうかがえた。そして剃毛してしまえば、もっと幼くて可愛い叶くんになるのだろう。  ショリ、ショリ。丁寧に少しずつ剃っていく。他人の陰毛を処理する人間はこの世界にどれくらいいるのだろう。  けれど決して少なくはないはずで、僕たちもその一員に加わったに過ぎない。 「……なんか、喋ってくださいよ……」 「つい熱中してしまってね」 「はあ、もう……」  呆れてるのかため息を吐いた叶くんの、頬はそれでも少し赤くなっていた。硬くなった叶くんも先端をぬるつかせている。 「ふふ、こんなところ普段触られないだろう」 「触られないこともないですけど……でも、まじまじ見られるのは……いつものことか」  睾丸を持ち上げて裏側付近を綺麗にする。首を傾げつつの叶くん曰く、僕は睾丸の裏をまじまじと見つめるのもいつものことらしい。  そんなことあったかしら、でも、きっとあったのだろう。 「こっちは綺麗なんだね」 「んあっ、は、んん……」  後ろの窄まりに指を這わせると、叶くんはビクッと身体を跳ねさせた。あらかじめ剃刀は離しておいたけれど、快楽に弱い身体は時に危険さえも省みない危うさを持っている。 「これが終わったら、どうしてほしい?」  シェービングジェルを足しながら、叶くんに聞いた。  叶くんは唇を尖らせて、言いたいことがあるけど照れて恥ずかしそうに言い淀んでいる。  長くの時を過ごしても、新鮮な叶くんを見れるのはとても喜ばしい事だ。昨日までの君も、今この瞬間も、明日からの君も、きっと魅力的に違いない。 「言ってごらん。良い子に最後までいられたらご褒美をあげる」  僕がそう言うと、叶くんは、はあ、と熱っぽい吐息をこぼした。  頭の中で想像したそれを、たまらないと口にする瞬間はいやらしくて可愛くて愛おしい。  どんな卑猥な事を願うのか、僕は楽しみでならない。 「ん……間宮さんに、」 「うん」  はあ、と再び吐息をこぼす。  もはや想像の中でそれをされているのだろう。硬くなった叶くんはヒクヒクと揺らめいて、先端からしとどによだれをこぼした。 「舐めてほしい、少しで良いから」  目を細めて欲しがる表情は胸をキュンとさせる。今すぐにでも甘やかしてあげたいし、しばらくはダメだといじめてもあげたい。 「どこを?」 「俺の……ペニス……」  煽情的な視線と言葉に、僕は思わず舌なめずりをしそうになった。

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