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2話-19

 でも、と俺が食事を断ろうとすると、案内されたリビングのテーブルには、既に2人分の弁当が向かい合う形で置かれていた。 「1人が食べていて、もう1人がそれをただ見ているだけというのは、食べている側からしたらとても心地良いものじゃないよ」  ああ、そう言えば昨日はそんな状況だったような。  つまり、気まずいから俺も食べろと言う事だろうか。  それに、俺に来なくてもいいと言った間宮さんが、俺の分の食事を準備していた。  来なくてもいい、でも、来るのを待っていたのかと思うと、これを断るのはそれこそバカだと思った。  俺は、静かに席につき、手を合わせた。 「叶くんは、アレを読んだのかい」 「あ……はい」  間宮さんが唐突に話し始める。  2人で食べようとも、俺はなんだか気まずい気分でいた。  原因はもれなく、間宮さんが切り出した件がそれにあたる。 「どこまで読んだ」  静かな家の中で、ぽつりぽつりと会話がされる。  家の外では、間近の公園で子供が遊ぶ声がした。  それだけしかない、静かな世界だった。 「あ……最後まで、です」  読み切ったあとの、いわゆる読後感というのはすっきりと胸に収まるようで、性的な意味以外のエクスタシーを感じた。  性描写はさることながら、ストーリーそのものが、俺は好きだった。 「ふうん」  俺と間宮さんは目が合わない。  そもそも間宮さんは俺の方を見なかったし、俺はチラチラと間宮さんを見たけれど、長く見つめる事はできなかった。 「君は」 「っ……」  俺がチラ見していると、急に俺を見てきた間宮さんと視線がかち合う。  そして、それを逸らす事が出来なくなる。

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