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2話-20
「それでも君は僕の手伝いをしたいというのか」
間宮さんは昨日から何度も、何度も俺に聞いてきた。
もう決意したことなのに何回も確認されるのは嫌な気分だった。
「……間宮さんは、俺が手伝うの、嫌なんですか」
感情の読めない間宮さんが、何を思っているのか俺にはわからなかった。
間宮さんの小説は、あんなにも心を映し出すのに。
「……僕は、君に嫌われたくないんだ」
間宮さんは真っ直ぐに俺を見ながら言った。
嫌われたくないなんて言われるとは、まるで想定外だった。
まるで子供のような言い方に、思わず笑いがこみ上げてくる。
「別に、嫌いになんてならないですよ」
俺の言葉に納得したのかどうかわからないが、間宮さんは小さく頷いた。
俺よりも年上の人なのに、俺よりも幼く見えた。
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