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2話-21

「叶くん、ここにきて」  食事が終わり、窓ガラスの直された間宮さんの仕事部屋に移動した。  あの惨状は嘘のように、きれいに片付けられて跡形もない。  それの他に、部屋の中央には座卓と座椅子が置かれていた。  座椅子に座り、間宮さんは俺を呼んだ。 「えっと」  ここにきてって、どこに?  俺が戸惑いながら間宮さんの横まで移動すると、間宮さんは自分と座卓の距離を少し離す。  そして俺を見ている。 「え……」  まさか、そこに座れと言うのだろうか?  俺はさっき、間宮さんの事を嫌いになんてならないと言ったが、それを撤回しなきゃいけなくなるかもしれない。  もしかしてこの人、変態サンだったのか? 「……本気、ですか」  俺は戸惑いが隠せず、間宮さんに聞いた。 「僕は手書きでないと、インスピレーションが湧かないんだ。だから叶くんがここに座って書くのを、近いとこから見たら自分で書いてる気になれると思ったんだよ。叶くん、そんな大きい方じゃないし、丁度いいと思って」  間宮さんの言っている事は、わからなくもない、気がする。  理にかなってる、と思う。  けれど、相変わらず感情の読めない間宮さんの言葉は、冗談なのか本気なのかわからなかった。

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