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3話-2

 枯れ果てた口の中に、ぬるまった水が注がれる。  目を見開いた俺を、間宮さんの射抜くような視線が真っ直ぐ見つめてくる。  水をゆっくり嚥下すると、間宮さん唇は離れていった。  名残惜しいと感じてしまったのは、俺の方だった。 「もっといるかい?」  意地悪い質問に、俺は顔を逸らした。 「……俺は風邪をひいても、最悪どうとでもなるからいいんです。でも間宮さんの代わりは、出来ないんですよ……こんなことして風邪をうつしてしまったら……」 「叶くん」  間宮さんが俺を呼び、逸らしていた顔を正面に向けさせられる。  そして、二度目の口移しだ。  今度はさっきよりも深く、長く。 「人は病になると弱気になると聞くが、君もそのタチらしいね」  口端に笑みを浮かべる間宮さん。  その唇から繋がる銀糸は、すぐに消えてなくなった。

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