「叶くん、服を脱いで」 「え、今、ですか」 　あれ、なんだかデジャヴな気がする。 「そう、今だよ」 　間宮さんは言いながら、部屋を出て行ってしまう。 　何か用意があるらしい。 「……あの、一応病み上がりなのですが」 　間宮さんの背中に投げかけると、間宮さんは振り返る。 　見返り美人だ。 「病み上がりだから、だろう」 　こともなげに言い、間宮さんは行ってしまった。 　ああ、そうですか、そうですか。 　そういえば風邪で寝込むなんて、小学生のとき以来だ。 　間宮さんと暮らすようになってからは風邪だろうがなんだろうが、寝込むという選択肢はなかった。 　病になれば気合で誤魔化す、そんな生活で不摂生を切り抜けてきた。 　だから間宮さんは、病み上がりの俺で喜んで遊ぼうと言うのだな。