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3話-4

 さっきのようなキスでもしない限り風邪がうつることはないと思いたい。  それに俺がなんと言おうが、結局は間宮さんのお戯れに付き合うことになるのだ。  仕方ないので、俺はひとつため息を吐いて上半身を起こしす。  そういえば間宮さんの作品の中に、病人ネタはなかったなぁ、なんてぼんやりと思った。  間宮さんとの戯れは、特に直接間宮さんの作品の中に反映されるわけではない。  あくまでも間宮さんの単なる性癖であり、お楽しみでしかない。  まあ、このお楽しみが間宮さんのモチベーションを上げて、毎度ギリギリの締め切りを切り抜けているのだけれど。  でも倒れるまでやっていた仕事は無事終わり、次の締め切りは2週間先だ。  としたら、今モチベーションを上げるのは無意味だな。  間宮さん以上に、間宮さんの仕事のことしか考えていない俺は、本当に仕事中毒のようだ。 「君がぼーっとしてるなんて、珍しいね、叶くん」

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