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3話-7
「俺、自分でやりますから」
と、タオルを奪おうとすると、俺の手を間宮さんに掴まれる。
「黙っていなさい」
「はい……」
主導権は間宮さんにあるので、俺は黙っているしか選択肢はないようだ。
静かになった俺に満足したのか、間宮さんは俺の首筋を丁寧にタオルで拭いた。
「片方脱いで」
促されるまま、右腕だけシャツの袖から引き抜く。
手首を持たれ、肩から丁寧に拭かれていく。
正直恥ずかしかった。
これは立派な羞恥プレイの一種であると思う。
間宮さんはいつもの着流しを着て、俺だけ半裸でこのあときっと下も脱ぐのでしょう。
ただの看病と言えばそうかもしれない。
間宮さんはいつになく真剣で真顔だ。
だからこそ、一人で興奮している自分が恥ずかしい。
下がった熱も上がってしまう。
なんてぼーっとしていると、腕をあげた状態で、手首を頭の後ろに固定し肘を曲げさせられる。
まるで脇を見せつけるよう。
「なっ……」
すんっ、と鼻を近付けにおいを嗅ぐ間宮さん。
汗をかいた脇のにおいを嗅がれてしまった。
カッと顔が熱くなる。
「なにしてるんですか」
「叶くんの汗のにおい、嫌いじゃないよ」
俺の質問に答えているようで、答えていない。
放っておけば舐められそうなくらい、脇に顔を近付けている。
「そういう問題じゃないです……」
俺がたじろぐのが面白いのか、二の腕にちゅっちゅっとキスをしていく。
ああ、もう、なにが甲斐甲斐しく世話をして上げる、だ!
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