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4話-2

「その人は……?」 「うん、間宮さんの代筆をしてくれる方だよ。村木(ムラキ)さん」  村木さんが会釈したので、俺も会釈し返す。  薄い顎髭と、表情を隠した長い前髪。  たいして愛想が良い訳でも、不躾でもなく、ただ少し無関心な感じがした。  どことなく、間宮さんに似ている。  そんな気がした。 「これ、お菓子貰ったんで食べてください」 「あ、ありがとうございます。間宮さんは奥にいますので、今お茶を持って行きますね」 「ありがとう」  菓子折りを渡され、二人は間宮さんのいる部屋へ向かった。  パタンと閉じる扉。  俺はこの家で、たった一人部外者だった。  台所へ行き、お湯を沸かす。  その間に菓子折りを開けると、中にはどら焼きが入っていた。  ポピュラーな普通のどら焼き、抹茶味と思われる色のものや、カスタードが入ったものもあるらしい。  その三種類を2つずつ盛り皿に乗せ、急須に入れたお茶を湯のみに三つ注ぐ。  食器は昔からあるもので、お茶っぱは貰い物だという。  この家で間宮さんが買ったものは、全て書斎の中に収まってしまうそうだ。

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