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4話-4

「君は高校生?」  村木さんがおもむろに言った。  シャワーのノイズで、一瞬反応が遅くなる。  村木さんはシャワーを止めて、俺を見据えた。 「高校生?今、夏休み?」 「あ、高校生で今夏休みです」  村木さんは、ふうん、とか言いながら何か考えてるのか、顎を指で触った。  不意に村木さんの手が俺のワイシャツに伸びる。  びしょ濡れになったシャツのボタンを、一つ一つ丁寧に外して行く。 「学校が始まったら、ちゃんと学校通うんだろ」 「え、あ、そうですね」  夏休みが終わった時のことなど考えてなかったが、当然朝から間宮さんのところに来られるわけでもない。  間宮さんに会える時間も、ぐっと減ってしまう。 「学年は」 「は、」 「三年生?」 「あ、はい」  最後のボタンが外され、開いた隙間から指が胸を這う。  そっと触れられただけなのに、俺の心臓はドキドキとした。  当然のように触れてくる村木さんの様子を、俺はただ見守るしか出来ない。 「火傷のあとは、平気らしいね」  村木さんの手が離れ、火傷はないはずなのに、俺の肌は触れられたところがじりじり痛む。 「高3なら、これから受験なり就職なりあるんだろ」 「……はい」

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