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4話-6

 念のため病院に行った間宮さんと松本さんを見送る。  俺は借りた着流しで縁側に座り込み、干した服が乾くのを待った。  外の日差しは強く、蝉がやかましく鳴いている。  家には俺と村木さんの2人きりになってしまった。  時折吹く爽やかな風に煽られながら、俺はため息が止まらない。  間宮さんの助けになりなくて来たのに、迷惑ばかりかけているじゃないか。  やはり、俺なんかじゃ力にはなれないんだろうか。 「君は」 「ひっ」  唐突に、村木さんが背後から覆うように身体を寄せて来た。 借りた着流しの胸元に右手が入り込み、素肌に直で触れられる。 「間宮先生のどんな手伝いをしているのか」 「どんなって……や、」  襟を左右に開かれ、肩から胸が露出する。  女じゃあるまいし、胸が露出しようが構わなかったが、肌を這う村木さんの手が気持ち悪かった。  それから逃れようとするが、脱がされた着流しで腕が動かせなかったし、村木さんに身体を寄りかかる体勢にさせられ起き上がるのが困難だった。  どうしてこんなことになってるのか、村木さんの手は止まらない。 「一度既に代筆したんだって?君みたいな高校生が、間宮先生の作品に触れて」 「い、いやだっあ」 「勃起させないわけない、そうだろう」  言葉を切った村木さんが、俺の耳元に囁きながら右手を股間に伸ばしてくる。  俺の左膝を掴んで立たせ、浴衣の裾が捲れた。  下着まで濡れてしまったから脱いでいて、下半身が晒される。  目の前は公園。  今は人がいないが、いつ来たっておかしくない。

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