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4話-11

 向かい合って座りながら、弁当屋の弁当を二人で食べる。  間宮さんは利き手でない右手でフォークを使うのも上手くなっていた。 「間宮さん、右手使うの上手くなりましたね」  以前はフォークでさえ上手く使えず、丸いウィンナーを刺すのに時間がかかっていた。 「そうだね。でも……いや、なんでもない」 「なんですか?言いかかって止められたら、気になりますよ」  つまらないことだよ、と間宮さんは前置きする。 「いつまでも上手く使えなかったら、君は僕に食べさせてくれるかな、とか」  思ってしまっただけだよ、忘れてくれ。  追ってなかったことにしようとする間宮さんは照れているのだろうか。 「間宮さんが嫌じゃなければ、俺は、なんでもしたいです」  俺は少しだけ思い出した。  そうだ、あの日病院で言った言葉は、たったそれだけのことだったんだ。  ただ、間宮さんのために何かしたい。  たった、それだけの、どうしようもなく大切な理由だった。 「間宮さん、食べさせてあげましょうか」  俺はなんだか嬉しくなり、そう聞くと間宮さんは小さく笑った。 「改めてそう言われると、それは、なんだか恥ずかしいね」

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