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4話-15

 その声にハッとする。  台所の入り口に間宮さんが立って、表情もなく俺たちを見ていた。 「今日はもう帰っていいよ」 「……ええ、そうします。俺もこんな子供に誘われて手を出すなんて、どうかしてました」  言い訳できないと悟った村木さんは最後に俺に罪をなすりつけ、家から出て行った。  いや、本当に罪を犯したのは、拒否することもしなかった俺なのかもしれない。  嫌だと思いながら、身体の奥に熱がついた。  先にある快楽を想像して、止めるのを怠った。 「どうする、君も帰ってもいいよ」  間宮さんが静かにそう言った。  興味の失せた、感情のこもらない声。  弁明する言葉も出てこない。  なんと言えばいいのか、なにを言いたいのか、わからなくなった。 「それとも」  間宮さんが右手で俺を指差す。  その指はゆっくりと下に、俺の股間を指した。 「そこ、処理するのを手伝おうか」

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