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4話-16

 俺は椅子に座り、ズボンのチャックを寛げた。  2人で向かい合って食事をしたダイニングテーブルの椅子。  俺は机から少し引いた位置に、間宮さんは机を挟んで向かいに座り、俺を見つめた。  パンツからゆるく勃起したそれを引っ張り出し、軽く扱く。  間宮さんに性器を晒すのはこれで2度目、いや、昨日のことを含めたら3度目だろうか。  緊張するのに、熱は高まっていく。  間宮さんの申し出に俺は戸惑った。  書斎で、また二人羽織のようにして触られるのかと思ったからだ。  間宮さんに、そこに座ってとダイニングテーブルの椅子を示されたときは安堵した半面、心のどこかでがっかりとしていた。  もう書斎にはお茶を汲みにいくだけしかしていない。  あの部屋の中には、やはり入れないのが寂しかった。  あの部屋で、間宮さんに触れて欲しかった。 「そう言えば叶くん、君は僕の左手の代わりになると言ったね」 「あ、はい」  俺が自慰するのを間宮さんが見つめるだけの視姦プレイに没頭していて、反応が遅れる。  そう言えばそんなことを、俺は病院で言ったんだっけ。  間宮さんの手の代わりになる。  その言葉に深い意味はなかった。

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