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4話-18
「村木くんと仲よさそうにしてたから、つい意地悪いことしてしまった。すまなかったね」
手の中の残滓を、荒い息で見つめていると間宮さんが言った。
俺は間宮さんの手の中で果てたような罪悪感と羞恥で、熱がまだ治らなかった。
「僕は悪い大人だから」
間宮さんは俺を真っ直ぐに見つめる。
表情の欠けた、感情の落ちた、静かな瞳。
「いけないと思いつつ、君に手を出してしまう。それでも僕は」
間宮さんは言葉を切って、それはそれは丁寧に口にする。
「君に、ここにいて欲しいと思ってしまう」
じわりと胸が熱くなって、呼吸が浅くなる。
性的な興奮とはまるで違った。
「君の居場所、ここにして」
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