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5話-7

「間宮さんは俺のこと、後悔していますか」  遅い昼食を2人で向かい合って食べながら、俺はふとそのことを聞いた。  時々申し訳なくなると、間宮さんは言った。  本当は俺だって、申し訳なくなる。  間宮さんはあの時もう大人で、俺はあの時まだ子供だった。  子供だった俺は、子供であることを利用して、間宮さんに責任を押し付けたのかもしれない。  そんな責任感のような思いで間宮さんがいるのなら、そんな間宮さんに申し訳なくなる。 「後悔?なにを」 「俺みたいな子供に、手を出してしまったこと、とか」  俺がそう言うと、間宮さんは俺を頭の上からじっくり眺めた。 「君は大人だ」 「それは……そうですね」  間宮さんが言いながら笑うから、俺も笑ってしまう。  間宮さんが後悔していないなら、俺はそれでいい。  俺を重荷に思わないなら、側にいていいというなら、なんでもいい。 「申し訳なくなると言ったのを気にしているなら」  君の思っているような意味じゃないよ。  間宮さんが言うのを、俺は静かに耳を傾ける。 「例えば君が将来素晴らしい野球選手だとか、国を動かすリーダーだとか、世界を変えるような発明家だとか、誰もを感動させる芸術家だとか、そんなものになるのを知っていたとしても、僕は君を、手放しはしなかっただろうから」  それはわがままで自己中心的な、そんな素敵でこの上ない愛の言葉のように思えた。 「君のような素晴らしいものを、僕だけのものにしてしまうことを、世界に対して申し訳なく思う」  そう言って優しく微笑む。  俺は胸がギュッと熱く、鼻がツンと痛くなった。

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