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6話-12
「叶くん」
「……はあっ、はあ、はあ……」
ぽんぽんと頭をなでられ意識が戻る。
ほんの少し時間が飛んだようで、頭が混乱した。
「大丈夫かい」
間宮さんの胸に抱きとめられながら、頭はよく働かない。
呼吸は浅く、動悸が激しい、開いた口から唾液が落ちて間宮さんの服を濡らす。
このままずっと、間宮さんに抱きついていたい。
この腕に、胸に抱かれていたい。
「はあ……はあ、ずっと、ずっと射精が止まらなくて……」
少しだけ怖かった。
この時が永遠に続けばと考えたことはあったが、延々止まらない射精、襲い来る快感に俺は壊れてしまうと思った。
もう二度としたくないと思う。
「意地悪くし過ぎたね」
お詫びにとでも言うように、間宮さんが俺を強く抱きしめる。
ああ、今すごい甘やかされている。
「ほんとですよ」
でもたまには悪くないかな、なんて思っても決して口にはしない。
間宮さんに悟られれば、喜んで繰り返すだろうから。
「君に、わかって欲しかったんだよ」
間宮さんの指が髪を梳くように動いた。
冴木さんに頭を撫でられ、事故とはいえ裸を見られた。
そんな些細なことに、間宮さんは嫉妬したのだ。
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