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【文化祭 3】
食欲を満たし、午後は自宅で練習。
「んじゃあ、今日もよろしく。」
「うん!よろしくね!」
いつものように練習を始める前には拳を合わせてそう言い合う。
時に意見がぶつかることもあるが、2人で音楽を創り出し、奏でる喜びと充実感は何にも替えがたい。
「久々に紅葉のヴァイオリンじっくり聴きたいな…。」
凪にそう言われて、休憩を挟んでからヴァイオリンを弾く紅葉…。
「お疲れ。今日も最高だった。」
「ありがと。凪くんもお疲れ様。」
練習後は握手をして、2人きりの時はハグとキスも。
コーヒーと紅葉はおやつの休憩をして、平九郎の散歩を済ませると仕事へ向かった。
そして後日…
凪の後輩と彼女に会い、衣装を見せてもらった。
5着ほど見せてもらい、その中でサイズが合い、凪のOKが出て借りたのはアリス風の水色のワンピース(膝丈)+白いフリルエプロンだった。
試着した姿を凪に見せる紅葉…
くるりと一回りして全身を見せた。
「…可愛い?」
「うん……。
変な虫つけないでね。」
女装のレベルを超えて完璧な美少女となった紅葉に凪は今更ながら人前に出すのが心配になる。
「もう蚊はいないよ?
凪くん見に来る?」
「その虫じゃなくて…(苦笑)
あー…仕事なんだよ…!
でも迎えには行けると思う。
終わったら連絡して?」
「うん…っ!」
「ナンパされないでね?
ちゃんとカレシいるって言えよ?」
「はぁい。」
文化祭、女装コンテスト当日
ぶっちぎりで紅葉の優勝だったそうだ。
インタビューでいろいろ聞かれる紅葉。
「優勝おめでとう!誰に知らせたいですか?」
「んと…おじいちゃんとおばあちゃん?」
「それは…!ビックリするだろうね!(笑)
恋人には?」
「さっきLINEしたら可愛いって言ってもらいました!このお洋服もカレシが選んでくれました!」
「あ、カレシプロデュースなんだ…
今日は来てないの?」
「あとで迎えにきてくれるよ!
なんか今日LINE教えてって人が多いけど、カレシが来てからって約束だから待っててね!」
「…(苦笑)
そんなカレシのどんなところが好き?」
「カッコ良くて、すごい優しくて、背が高くて、手が大きくて、服とかもカッコ良くて、車運転してる横顔とか、ご飯も…いつも僕の食べたい物を美味しく作ってくれて、 もし優勝出来なかったらお弁当作ってくれるって!もうすっごい嬉しくて!
あと、髪の毛もサラサラに乾かしてくれるし、寝癖も直してくれるの!
とにかく全部大好きっ!」
「だいぶ愛が溢れてるね…(苦笑)
付き合いたてのエネルギーかと思ったらこれで交際1年らしいですよ…。
こんな可愛い子と付き合えてカレシが羨ましい…」
コンテストのあとは賞品を手に友人たちと写真を撮って盛り上がり、凪の迎えがもうすぐ着くタイミングで紅葉は私服に着替えた。
「あれ?着替えちゃうの?」
「うん。いつもの方がいいって言うし、僕もあんま目立ちたくないし。」
「そっか、お疲れさまーっ!」
「打ち上げ行けなくてごめんね!
バイバイー!」
少しだけ大学内を変装した凪と並んで歩き、まだまだ盛り上がりを見せる学祭を眺めながら2人は仕事へ向かったのだった。
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