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【バレンタインと独占欲 4~エピローグ~】
エピローグ
2月上旬
「ぬぁあっ!……えー?!何これ…っ」
紅葉は1人自宅のキッチンで格闘していた。
バレンタイン用に凪への手作りチョコを作っているのだが、最初のチョコを砕くところから苦戦の連続で、デニム生地のシンプルなエプロンはもちろん、凪お気に入りのキッチンも惨状になりかけている。
「うわー…ベタベタ…っ
怒られちゃう…!」
あたふたしている間に凪が帰宅してしまった。
「ただいまー…
何? この甘い匂い…!
チョコ?」
「おかえりなさい…。
ごめんなさい…難しくて失敗してる…!
あとでちゃんと片付けるね。」
凪は部屋中に広がる甘ったるいチョコの香りに一瞬顔をしかめたものの、紅葉の作っているそれが多分自分宛のバレンタインチョコだと分かると怒ることはなかった。
「へぇー…
クランチチョコ?作ってんの?
すげー、こういうキットで売ってんだねー!」
箱を眺めつつ、紅葉の手元を覗く凪…
ボールの中のチョコは溶けきっていないのかベタベタのボロボロである。
「内緒で作って渡したかったのに見つかっちゃったね。」
「手作りチョコなんて…随分可愛いことしてるね。どれ…。ん、お湯の温度低いんじゃない?もう少し温かいの入れてやってみよう。」
手早く凪が湯煎のお湯を温かいものに換えて、ゆっくりとチョコを溶かしていく。
凪はそのまま箱の説明書を読んで手順を確認しながら、散らばったキットのゴミや垂れてしまったチョコレートの汚れを片付けていく。
「次、これ入れて混ぜて。」
「うん…っ!」
指示をだしながら、作業自体は紅葉にやらせて、2人で無事にチョコレートを完成させた。
「あとは冷やせば完成…っ!
さすが凪くんっ!ありがとう!」
「いーえ。
よく出来ました。」
「でもこれじゃあプレゼントにならないよね…。まだ日にちあるし、バレンタインまでにちゃんとしたのも買っておくね!」
「え、別にいーよ、これで。
せっかく2人で作ったんだし、むしろこれが俺たちのバレンタインって感じで良くない?
それに甘いのそんなにあっても…結局ほとんどお前が食べるんだよ?(笑)」
凪の提案に紅葉は「そっかっ!」と頷いて笑顔を見せた。
「ずーっと気になってたけど、口のとこチョコ付いてるよ?…味見したの?(笑)」
「あ…うそ?!
バレたーっ!(笑)」
ペロリと凪にチョコのあとを舐め取られて、そのまま口付ける2人…
紅葉は凪の服の袖を摘まみながら聞いた。
「チョコ、余ったよ?
チョコプレイとかって…したい?
食べ物粗末にしたら怒る?」
「…ってか、甘いから無理…(苦笑)」
結局、余ったチョコも凪に砕いてもらい、溶かして、家にあったマシュマロやパン、イチゴにつけて紅葉がおやつに食べたそうだ。
「チョコフォンデュ最高っ!」
「来年からこれにしよ。
簡単だし、キッチンも汚れない(笑)」
凪の提案に2人は顔を合わせて笑い合った。
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