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【凪の風邪とカミングアウトの壁 1】

2月下旬… LinksはイベントLIVEやファンクラブLIVEをこなしながら、精力的に活動を続けている。 間も無く、3月… ドイツへ出発する日も目前だ。 一足先に珊瑚も来日する予定で、翔はそわそわした毎日を送っているそうだ。 そんなある日… 「あ?友達とお菓子パーティー? …女子かよ…(苦笑) えっ?泊まるってまさか2人きりとかじゃないよな?」 「5人だよ。 みんな高校からの友達で… Linksのオケ演奏にも参加してたから凪くんも面識ある子たちだよ? 1人が春から留学するから…試験終わったし…ゆっくり話したいねって。 ダメ?」 写真を見せると確かに凪も知った顔で少しホッとする。 「……一人暮らしの奴の家に行く感じ? ゲイとかバイいない?」 「留学する子の実家だよ。 多分…いないと思う。彼女いる子も来るよ。 心配?凪くんがイヤなら止めるよ!」 「…まぁ、学生時代の想い出も大事だよな。 酒なしで、一時間毎にLINEしてって言ったらウザイ…?」 「全然大丈夫だよっ!! ホントにお菓子とジュースとゲームだけ。 いい…?」 「俺を1人寝させるんだから可愛くおねだり出来たらいーよ?(笑)」 「ん…っ。頑張る…っ!」 こうして紅葉は友人宅へ1泊することになった。 あれだけ渋っていた凪だが、当日は手料理の土産まで持たせてくれたのだ。 「お世話になりますっ! これ、良かったら…!」 紅葉は友人の母に凪の手料理を手渡す。 「まぁ!何かしら?」 「蛸のマリネと合鴨のローストです。 お口に合うか分かりませんが…」 凪に言われた通りに復唱する紅葉。 友人の母には手の込んだ料理に驚かれた。 「紅葉くんの彼女さんはお料理が上手なのね。若いのにすごいわ…っ! 見た目も華やかですごく美味しそう!」 「母さん、彼女じゃなくて彼氏だよ。 なっ!」 「うんっ!」 「えっ? 彼氏…? あぁ、そうなのねっ」 呆気に取られる友人の母を置いて、紅葉と友人たちは彼の部屋でお菓子を食べながらゲームをしたり、学校の話をして盛り上がった。 凪の料理は夕食に足されてみんなにも大好評だった。 「とっても美味しかったわ。 彼氏さんはコックさん? お礼を伝えてね。」 「前に和食のコックさんだったんです。 今は一緒にバンドやってて…! …あ!内緒だった!(笑)」 「もうみんな知ってるからー(笑) 母さん写真見せてもらえば? スゲーイケメンだよっ。」 紅葉がスマホでツーショットを見せると頬を赤らめる友人の母… 「あら、ほんと…っ!イケメン! 彼氏さんがこんなに素敵なお料理を…?!」 「いつも作ってくれます!」 「たまに学校にも送り迎えで来てるよなー。」 「ラブラブー!」 「来週から一緒にドイツ行くんでしょ?」 「スゲーよねっ! もう結婚だよねっ!おめでとうっ! ハネムーン楽しんでね!」 「お土産も忘れないで!(笑)」 みんなにそう言われて恥ずかしいが、嬉しくもあった紅葉…。 友人たちと撮った写真を凪に送って、再びお喋りとゲームを楽しんだ。 22時を過ぎて、廊下で凪に電話する紅葉… 「なんか…凪くん鼻声じゃない? 大丈夫?」 「あ…?そう? お前、明け方になると俺の分まで布団取るから…(笑)」 「えっ?!うそっ! ごめんね! お熱とかない?」 「冗談だよ、大丈夫…。 紅葉こそ夜更かしして風邪ひくなよ?」 「エアコンと床暖房あるから暖かいよ。 凪くんも暖かくして寝てね?」 凪との通話を終えて、友人たちの元へ戻る紅葉…。少し心配だが、凪は滅多に風邪をひかない(現に紅葉は凪と出会ってから彼が体調が悪いのを、見たことがない)ので、また明日、帰る前に電話してみようと決めた。 「紅葉ー! 彼氏さんと電話終わった?」 「うん、お待たせーっ!」 「早くー!」 「ちょっとはラブラブ話も聞かせてよー!」 夜遅くまで友人たちとのパーティーは続いた。

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