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【凪の風邪とカミングアウトの壁 2】

一方凪は… 自主練を終えて自宅で作業中だったが、日付が変わる頃になって悪寒を覚えて切り上げた。 「ヤベー…。 風邪かな? じいさんのが移った? だとしたら厄介そう…! 薬あったっけ?一応飲んで寝よ。」 先週、風邪を拗らせた池波(大家)の通院に付き添ったり、看病で食事を運んだりしていたので移ってしまったのかもしれないと凪は考えた。 いつも隣に眠る紅葉の体温は高く一緒に寝ていると暖かいのだが、どうにも寝相が悪くて布団を取られることも多いし、休暇前で仕事を詰めているのも原因の1つだろう…。 風邪薬を飲んでベッドに入る頃には完全に風邪だと認めるしかない体調だった。 「あいついなくて良かった…。 いや、いないから気が弛んだんだな… …さむっ!」 エアコンの室温を上げて布団を首もとまでしっかりとかける。 紅葉がお泊まりなので移す可能性は多少低くなったのは、幸いだった。 まぁ…症状が出る前に濃厚接触をしているので、もう移っているかもしれないが…。 来週にはドイツへ行くので、体調は万全にしておきたい。 翌日… 昼前に起きた凪は、昨夜より身体の回復を感じてホッとする。 基礎体力があるおかげか、薬が効いてゆっくり休んだのもあり、万全とまでは言えないが、昨夜よりは元気になっている。 その後、電話で心配する紅葉は早めに帰宅し凪の体調不良にオロオロしている。 「やっぱり風邪だっ! 寝てなくて大丈夫っ?」 「平気。もう熱も下がってきたし。」 紅葉の顔を見たら元気が出てきた凪は大したことないと、寝過ぎた身体を伸ばしながら答えた。 「僕ごはん作ろうか?」 「さっきうどん食った。」 「お薬飲んだ? お風呂は?沸かそうか?」 「飲んだ。 風呂はあとでいーよ。ちょっと作業して、筋トレしてから入るわー。」 「えっ?!筋トレなんかして大丈夫? 大人しくしてて!」 「いや、もう暇過ぎて…。 一回ガッと汗かいて温めれば治る気がする。」 「そんな…治し方あるのっ?!(苦笑) じゃあ…ただいまのギューして、キスもしていい?」 「それはダメ。移る…。」 「え~…。もう24時間以上キスしてないのに…。じゃあ…何か僕に出来ることある?」 紅葉はどうしても凪の世話を焼きたいらしい。 「(笑) じゃあ…ヴァイオリン弾いて癒してくれる? あ、あと明日でいいんだけど、買い物行ける? じいさんから看病の礼にって…気遣ってすき焼き用のスゲーいい肉もらったからさ。 明日の夜、珊瑚と翔くん誘ってすき焼きしよ。…そーいや、連絡ないけど、無事着いたよな?」 「着いたと思うー。 LINEしとくね。 3ヶ月振りの再会だからね。デートかな?」 「デートっつーか…お取り込み中なだけだろ…(苦笑)」 「? おじいちゃんも誘ってみるね! 遠慮するようだったら分けて届ければいいよね! 連絡しちゃうからちょっと待っててね! んー、何の曲にしようかなー?風邪治りそうな曲…って何ー?(笑) あ、凪くん、ここ座って~! 温かいお茶入れるね!」 凪にブランケットを渡して椅子を勧める紅葉… 「ありがと。 いつも以上に一生懸命で可愛いな…。」 「っ! チュー…したい…っ!」 「治ったらね?」 紅葉の頭をポンポンと撫でて、凪は優しく微笑んだ。

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