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【暖かな居場所 (2)】※微R18
「正さん(凪の義父)が、2人のためにって。
紅葉くんが和室が好きって言ってたからフローリングにはしなかったんどけど、畳は張り替えてあるのよ。
ドアにも鍵がかかるから、紅葉くんのバイオリンも安心して置いておけると思うの。
裏の勝手口から入れば夜に帰ってきてもすぐ部屋に行けるし…どうかしら?」
「えっ?!
俺たちがここ使っていいの?」
「すごい…っ! とっても広いよ?」
外から見ると別々の部屋に見えていたが、実は8帖間と6帖間が繋がっていて、手前がリビング、奥が寝室のようだ。
洋服箪笥やテレビ、ミニ冷蔵庫、テーブル、平九郎のベッドクッションまで置かれていて、
寝室はロータイプのモダンなベッドが置かれていて枕元には証明もついている。
まるでモダンタイプの客室だ。
「すご…っ!
え、何でこんな……?」
凪が早苗に聞くと…
「だって、紅葉くんのご家族にご挨拶に行くって言うから…!
正さん…"それは結婚ってことだよね?"って…。
お祝いに何かしてあげたかったんですって。
あ、テレビとかはお部屋のお下がりだったりするんだけど…」
「そんなの全然いいよ。
えー、スゲー嬉しいけど…。
なんか悪いよ。…たまにしか来れないのにこんなお金かけてもらって…!
ってか、義くん(義弟)が結婚した時どーすんの?」
「お祝いの気持ちだからお金のことはいいのよ。あ!もしお式をやりたいなら相談してね。
そうそう!義くんが結婚する時は離れを建ててあげようと思って!
増築でもいいけど…今時同居なんて…ねー?
仕事でも家でも一緒になったらお互い気を遣うでしょ?」
「なるほど?
え、紅葉と同居はいいんだ?(笑)」
「もちろん!
だってこんなに素直でいい子なんですものー!
あ、義くんが2人のお洋服を買ってくれて、箪笥に入れてあるのよ。」
「そーなの?
分かった。」
「…すごい、もうひとつのお家みたい…!
嬉しい…っ!なんか夢みたいだよ…っ!
ありがとう、お母さん…!」
「そう思ってもらえたら私も嬉しいわ。
これからは遊びに来るんじゃなくて…いつでも帰ってきてね。」
「…っ!」
感極まった紅葉は早苗に抱きついた。
「ふふ…。
さぁ、ゆっくりお部屋を見てね。
平ちゃんも気に入るかしら?
あ、朝ごはん食べる?」
「うん、食べるっ!」
「…厨房手伝う?」
「運転してきて疲れたでしょ?
あとでいいから…」
「了解。
…ほんとありがとう…。
あとで親父と義くんにもお礼言いにいく。」
「お土産もたくさんあるんだよっ!」
「まぁ、楽しみ!
お話も聞かせてね。あ、でもあとで…休憩時間に!もう行かないと!」
朝食時間なので、バタバタと忙しい早苗を見送り、凪と紅葉は平九郎連れて部屋に入った。
真新しい畳の香りと、シンプルで使いやすそうな家具、エアコンも新しいのが用意されている。
以前使っていた客室は人の出入りする度に物音が響くのが多少気になっていたが、ここは静かで日当たりも程好く、落ち着いた雰囲気の部屋だ。
ベッドが1つなのが少し気恥ずかしいかった、広々としていて寝心地も良さそうだ。
「平ちゃんのベッドはここだよ。」
紅葉は平九郎にベッドクッションの場所を教えた。これは犬好きの義父が用意してくれたそうだ。
「気に入ったって?」
「うん。嬉しそう…
すごいね…。なんかここ…暖かいね。
こんなに良くしてもらっちゃっていいのかな…?」
「確かに…居心地いーね…。
あー、働いて返すわ…(苦笑)」
「僕もっ!いっぱい手伝う…っ!」
2人が部屋の中を眺めながら休んでいると、義弟の義が顔を出してくれた。
「あ、いたいた!
お帰りー!」
「義くん!
久しぶり!」
「いろいろありがとね。
部屋着とか買ってくれたんだって?」
凪がお礼を伝えると義は義父とよく似たにこやかな笑顔を見せた。
「いーえ!
サイズ大丈夫かな?
あ!紅葉くん、小麦連れてきたよ。
部屋に入れていい?」
「もちろんっ!
わー!小麦ちゃーんっ!
おっきくなったー!
よしよしっ!わっ!元気ー!」
紅葉はこの家の新しい家族、ゴールデンレトリバーの子犬(8ヶ月、メス)小麦と平九郎に囲われて舐め回されて盛り上がっている。
その間に義は凪の耳元で囁いた。
「兄さん、あの…っ!
必要な物はチェストの一番下に入ってるんで!」
義の微笑みからなんとなく意味が分かって凪は苦笑した。
「…ありがと。
さすが。仕事出来るね?
…義くん、何か欲しい物とかある?(笑)」
「ないよー。
またフラれちゃったから時間あった、一緒に飲みたい…。」
「そーなんだ?(苦笑)
全然いーよ。飲もうー!」
その後、シャワーと朝食を済ませて凪は仮眠をとり、紅葉は平九郎と小麦を連れて散歩へ行った。
2匹は仲良く遊べているので、リビングに放して、紅葉はベッドに上がって凪の隣に潜り込んだ。
無意識に抱き寄せてくれる彼の胸に顔を埋めて幸せを感じながらキレイな寝顔を盗み見る。
日本人らしい切れ長の目元と形の良い鼻筋は亡くなった父親似で、口元は母親の早苗似なのだと以前言っていたが、早苗は年々面影や後ろ姿が父親に似てきていると先ほど溢していた。
こんな風に穏やかに凪と一緒に年を重ねられたら本当に幸せだと紅葉は改めて思った。
そのうちに目を覚ました凪はうとうとしていた紅葉に脚を絡ませてきて、両手も身体に這わせるように動かしてきた。
「や…っ。
何? 起きたの…?」
「うーん?起きてはないかな…。(笑)」
そう言いながら髪にキスを落としてくる凪に苦笑する紅葉。
「起きてるでしょ?
あ、ちょ…っ!
ダメって…!
まだお昼だよ?」
「いーじゃん。
こんないいベッドがあるんだし。
鍵かけた?
…やっぱ広いベッドっていいね。」
"うちも買い替えようかな…"と呟く凪。
その手は然り気無く紅葉のカットソーの裾にかかっている。
「ん…。
でも…っ!」
「…分かった。
ちょっとだけ。」
キスで押さえ込み、手を繋ぐ。
紅葉がキスと胸への刺激に夢中になっている間に凪は上になって、膝を割った。
「あ…っ。」
「可愛い…!」
緩く反応を見せる紅葉自身を膝先で触れながらも、合わせた唇を開かせて舌を絡める。
白昼から部屋に響くリップ音と2人の吐息がなんとも淫らだ。
「ん、ズルい…っ!」
息が上がりながら涙目で凪を見つめる紅葉は一度唇を離すと思わず彼にそう告げた。
凪はイタズラに笑顔を見せて、紅葉のズボンのバックルに手をかけたー。
「凪くん?まだ寝てるー?」
「「っ!」」
そのタイミングでの義父の声に驚く2人。思わずビクッと身体が跳ねた。
「大丈夫…!今起きたとこ…。
紅葉もいるよ。」
「あ、ごめんね!
お昼お蕎麦なんだけど、もう食べられる?」
凪は紅葉に目配せしてから、手早く服の乱れを整えると一呼吸置いてから扉を開けて義父の正に顔を見せた。
「おはよ。…久しぶり。
あの…!この部屋…本当にありがとう。
なんか…客室よりすごくない?」
「そんなことないよー。
むしろ客室のお古も混じっててごめんね!
何か足りない物があったら遠慮なく言ってね!」
「あ、うん。今のとこない。
ベッドもめちゃくちゃ寝心地いいし。
あー、昼だっけ?お願いしてもいい?
取りに行くよ。」
「分かった。
じゃあ10分くらいかな?
僕も休憩だから一緒に食べよう!」
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