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【暖かな居場所 (12)】※微R18
翌日…
京都
Links春ツアー初日
ファンクラブ限定LIVE
初っぱなから激しいリズムの曲で盛り上がり、Linksの世界観が広がる会場…。
凪の懸命の努力で同期も復活して、完璧な仕上がりを見せている。
凪はほぼ徹夜で作業したので、会場までの運転は誠一にしてもらい、移動中に仮眠を取ったくらいだが、疲れを滲ませることなく力強い演奏をこなしている。
本当は長い作業を終えた明け方、紅葉の隣で少しでも眠ろうと思ったのだが、ベッドを覗くと何故かズボンが脱げたまま眠っている紅葉がいた。
凪が隣にいないので、無意識に温もりを探す内に脱げたようだ…。
「腹まで見えてるけど…。
え、これって据え膳…かな?」
"誕生日だし…いいかな?出された物には手をつけないとねー"と、徹夜明けの妙なノリで恋人の白くて細い足に手を這わせれば、"ん…っ!"と色っぽい声が聞こえて、より滑らかな手触りの内股にも手を伸ばす…。
本当なら昨夜こうしていたかったし、その予定だったので凪のスイッチが入るのは早かった。
「ん…、や…っ!」
寝惚けながら弱い抵抗を見せる紅葉に覆い被さって首筋にキスを仕掛けて、朝の生理現象で反応を見せる彼のモノに触れていく。
「んっ?! え、…わーっ!!」
ドタっ!
ベッドの下に転がる凪。
ローベッドで良かったが、痛そうに顔をしかめている。
「っ!! 痛っ!」
「えッ?!
凪くんっ?!」
驚きで目覚めたらしい紅葉に思いっきり急所を蹴られて眠気も吹き飛んだ。
"やっぱりなんかしたかな…"と痛みに耐える凪。
何度も謝る紅葉を宥めて、結局そのまま身支度を始めた。
LIVEの方は滞りなく進み、ドラムソロも紅葉とのセッションも完璧だった。
そのまま他のメンバーも加わって曲をこなし、アンコールではファンの子たちにハッピーバースデーを歌って貰ってMCへ。
「誕生日おめでとう、凪。
誕生日なのに、一番働かせてごめんね?」
光輝は用意したケーキを出すと思わずそう告げた。
「ちょっと機材トラブルで…
徹夜明けの誕生日LIVEなんだよね?」
みなの補足に驚くファンの子たち。
「ちょっとは寝れた?
あ、せっかくだし前に来たら?」
誠一に言われて、マイクを手にステージの前へ移動する凪。
「そんな話すことないよ。
なんとかなったからいーじゃん?
あー、ここ落ち着かない…(苦笑)」
ドラムセットがないと落ち着かないらしく、緊張気味の凪。
メンバーからプレゼントを受け取って和やかムードへ。
紅葉も昨夜一度渡したプレゼントを持ってきて…渡す。
「重い…!(苦笑)」
「何これ?」
みなが聞くと、コーヒーメーカーと土鍋だと言われる。
「これで毎日ご飯を作ってもらおうってこと?」
「ふふ…っ!
コーヒーは僕が淹れるよ!」
会場からもラブラブだと言われて盛り上がり、凪は困惑気味に話を進めた。
「あのさ、これ(コーヒーメーカー)今朝早速使ったんだけど…あ、実家にいたのね。あー、みんなは押し掛けたりしないだろうけど、ここだけの話にしといて?(苦笑)
で…!親父が気に入っちゃって…、同じものをさっきネットで買ってプレゼントしたんだよね。」
「誕生日なのに?プレゼント買ったの?(笑)」
「親孝行だねー!」
誠一が感心している。
「そうそう…!
誕生日だからだよね?
凪のお母さんが今日のお昼にビーフシチュー差し入れてくれて…。俺たちも美味しくいただきました。」
光輝の言葉に紅葉も続いた。
「美味しかったねっ!」
「もう凪のお母さんはLinksのメンバー全員のお母さんって感じだね。
ちょっと!これは来月の母の日にちゃんと贈り物した方がいいと思う!」
みなの言葉にメンバー一同で頷いた。
「昨夜は小学生の時以来かな?
家族で誕生日会みたいなのやってもらって…、ケーキがさー。俺の好きな甘さ控え目の近所だも有名なチーズケーキだったんだけど…
プレートが…子供用の動物のプレートで、"凪くん お誕生日おめでとう"だったんだよね(苦笑)」
「あ、うん、多分犯人分かったよ(笑)」
一同頷く。
「しかも実家の犬が突っ込んできてケーキに穴が開いたっていうね(笑)」
「マジかっ!
写真ある?あとで載せてよ。」
誕生日の話題にみんなで爆笑した。
ケーキに突っ込んだのは小麦で、みんなで慌てふためいた。平九郎は大人しくお座りをしていたが、尻尾をぶんぶん振りながらヨダレが滝だったらしい。
因みにケーキ屋さんでは"蝋燭何本ですか?"って聞かれて"25本です!"って答えた紅葉に、お店の人も"あ、子供用じゃなかった!まずい!"って思ったようだ。
でも紅葉がそのプレートがいいと言うので、
"ケーキが燃えちゃうので有料になりますが、数字の蝋燭はいかがですか?"と対応してもらったらしい(笑)
MCの最後にみなが告げた一言に会場が沸くことになる。
「誕生日だよ?
ツアー初日だよ?
明日もここでLIVEだけど、
今日はファンクラブだよ…?
…キスくらいしたら?」
無理無理っ!と赤面する紅葉は顔を隠して袖へ走ってベースを取りに行ってしまった。
凪もその様子を見て笑いながら、ドラムセットへと向かう。
光輝と誠一もスタッフからギターを受け取って次の準備を始めた。
ファンの子たちは残念そうだ。
そこへ紅葉が戻ってきて、なるべく目立たないように足早に凪へ近付く。
「ちょっとこっちに来て?」
「ん?何? え、するの?」
「…頬だよ?」
フッと笑ってドラムセットの隙間から右の頬を紅葉へ寄せた凪。
凪の頬に紅葉の唇がつく寸前…、
顔の向きを変えた凪は驚いて後ろへ飛び退いた紅葉の唇のギリギリ下辺りにキスをした。
端からみたら唇にキスしてるようにも見えるだろう。敢えてそこを狙った凪は悪戯な笑顔を見せた。
もちろん会場からは黄色い悲鳴。
紅葉はいろいろと驚き過ぎてドラムセットにぶつかりながらベースを抱えてしゃがみこんだ。
位置の変わってしまったセットにローディーが慌てて出てくる。
「あー…立て直すので少々お待ち下さい。」
凪のアナウンスにメンバーも笑っていた。
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