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「暖かな居場所 (14)」※微R18
無事に(?)夕食を食べ終わって、片付けが終わる頃…
「ちょっとドライブ行かない?」
と言って紅葉を連れ出した。
「あら、出掛けるの?今から?」
早苗に聞かれて、車のキーを片手に手短に答える凪。
「あぁ。遅くなるかも。先に寝てて?」
「鍵持ったわよね?
気をつけてね。
…紅葉くん、寒くない?」
「大丈夫ー。
行ってきまーす!」
紅葉はモコモコのパーカーを片手に助手席へ乗り込んだ。
2人がやってきたのは、地元では桜が有名な公園。
車を停めてゆっくり歩いてみるが、肝心の桜はもうほとんどが散ってしまっていて、夜桜目当ての花見客もいなかった。
「残念…。すっかり葉桜だな。」
凪は紅葉に綺麗な桜を見せたかったようで、苦笑しながらそう呟いた。
「見てー!
お花がいっぱいだよー!
いい匂いもするっ!」
紅葉は落ちてしまった花弁が溜まった地面に足を踏み入れて何やら楽しそうだ。
まだ色褪せてなくて、綺麗なピンク色の桜を集めては、夢中になっている。
「…何してんの?」
凪が近付いて覗き込むと、黒いアスファルトの上に淡いピンクの花弁を並べてハート型を描いていた。
「ふふ…っ!
出来たー!
…あぁっ!」
出来上がった瞬間、風にさらわれてしまったらしく、思わず声を上げる紅葉…。
「ふ…っ!」
「…見た……?」
伝わったかな?と凪を見上げる紅葉。
「見た。
何、可愛いことしてんね?」
「写真撮りたかったのに…!」
「…風出てきたし、寒いから車戻ろ。」
凪に促されて、紅葉は少し汚れた両手をパンパンと払い、手を繋いで車へと戻る2人…。
「あー…。
…どーしよっか…。」
「ん…?もう帰る?」
「……寄ってく?」
「……?
あ、コンビニ?
いーよっ!」
「あ、いや…(苦笑)
まぁ、コンビニ…も…、寄ろっか。」
歯切れの悪い凪と、凪の意図を読み取れない紅葉…。
しばらく見詰め合ったあと、凪はハテナマークがいっぱいな恋人の顔を見て笑うと、そっと紅葉の手を握って聞いてみた。
「…ホテル、寄ってく?」
「っ?!ほ、てる…?」
「驚き過ぎだから…!(笑)
あー、イヤなら別にいいんだけど…、紅葉はあの家でヤるのは落ち着かないだろうし、さすがに俺も気を遣うし?
でもまぁ…、明日LIVEだもんなぁ…。」
「あ、うん。そうだね…。」
今日1日休みを挟んで大阪でのLIVEを控えている。
「でも、お前東京に帰んなきゃだし…」
「そっか…。
寂しいね…。」
紅葉は学校があるため、LIVEの翌朝一番で新幹線で東京へ戻り、凪は料理長の腰が万全ではないのであと数日実家へ残る予定なのだ。
たった数日だが、離れ離れになることを考えると急に寂しくなってきた紅葉…
「…いーよ?
行こ…っ!」
「ん。」
恋人のOKに思わず頬が緩んだ凪は短く口付けて、一先ずコンビニへと向かった。
飲み物を買って、紅葉は小腹が空いたと言い肉まんを噛りながら温かいコーンスープを飲んでいる。
食べ合わせも微妙だし、これからラブホへ向かおうって話をしたあとに肉まんとはなんとも色気もないが…なんだか紅葉らしくて、凪はご機嫌でスマホの検索をかける。
「一口ちょーだい?」
「いーよっ!」
「…ん。
ありがと。
あー、ここどう…?
そんな派手じゃないよ?」
「…うん…っ。」
恥ずかしかったのかホテルの写真をチラ見して肉まんに視線を戻す紅葉。
凪はナビを操作して目的地へと向かった。
自身はサングラスをかけて、紅葉にはモコモコのパーカー…うさぎの耳つきフードをかぶせて(どう見ても女の子に見える)、手を引いて部屋へと向かう。
「は、恥ずかしかった…っ!」
顔を覆う紅葉の両手を掴んで少し強引にキスを仕掛ければ"んんっ!!"と驚きの声があがる。
やたら長いうさぎの耳を掴んで"邪魔だな、これ…!"とフードを取りながら呟き、キスを深めながら細い腰を掴んだ凪の器用な手が、パーカーの裾から侵入し、胸まで伸びてくる。
「食べていい?」
凪が冗談で聞くと、
「……オオカミさんなの…?」
少々性急な愛撫と珍しい台詞にビクリと身体を震わせた紅葉が思わずそう尋ねると、凪は笑いながら答えた。
「(笑)
お預けだったからなー。
大丈夫。明日のLIVEには響かないようにするから…。」
額に口付けると、コクンと頷いた恋人を連れてバスルームへと向かった。
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