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【合宿とトラブル 3】

練習を終えた、夕方… 凪と紅葉は近くのペットホテルに預けた平九郎を迎えに行ってから宿泊先のロッジへと向かう予定。 紅葉からリカコとの話を聞いた凪は微かに身震いをした。 「女の喧嘩って怖ぇー…(苦笑)」 「カナちゃんすっごいカッコ良かったっ!」 「だな。俺の出番なかったね?(苦笑) 紅葉…?」 「ん?」 「分かってるとは思うけど…お前の容姿もその才能も、両親から受け継いだものなんだから大事にしろよ?俺だって紅葉の見た目も気に入ってるからな?」 「…うんっ!」 「それと… 俺とのことも、もし言われるのイヤなら隠すし。 でも俺は…お前との関係を恥ずかしいとか思ったことないから。 イヤなことあったらちゃんと教えて?」 「うん…。 大丈夫。 いつだって、誰に何を言われても僕が凪くんを想う気持ちは変わらないし、僕も恥ずかしくないよ。 それに隠し事は苦手だし…。」 どうしたって凪を好きな気持ちは溢れてしまうのだ。 「そうだったな。 そういう素直なとこが好き。」 「…チューしていい?」 「危ないから信号赤で引っ掛かるまで待って?(苦笑)」 「えー、全然信号ないよー!(笑) なんか雨すごいね?運転大丈夫?」 「おー。ゆっくり行く。 ワイパー全開だなー。 …あれだ!付き合うことになった日の…神社の帰りぐらいヤベー雨な気がする。」 「確かにー! …あれ? もしかして台風? 警報とか出てるかな…?」 スマホで確認する紅葉は少し心配になってきた。 「早いとこ平九郎迎えに行ってロッジに行こう。紅葉、なんかさっきから咳出てねぇ?大丈夫か? あ!レインコート用意しといて?ちょっとの移動でもずぶ濡れになるぞ、これ…!」 「大丈夫…。 うん、分かった。」 平九郎を乗せ、土砂降りの砂利道を抜けて、ロッジに到着するとLinksの借りた一棟にLiTJのメンバーもWin2のメンバーも集まっていた。 みんなでテレビのニュース(豪雨情報)を見ているようだ。 「あ、お疲れ。 道大丈夫だった?」 光輝に聞かれて凪は「なんとか…」と答えた。 カナがタオルを持ってきてくれて、有り難く受け取ると濡れた身体を拭いた。 「近くの川が増水してるから通行止めになるかもって、管理棟の方から連絡あったんだ。 凪たちは通れたんだね。 間に合って良かった…! 停電とかも心配だからとりあえずみんなで集まってようかって…」 「あー。なるほど。 飯は?」 「バーベキューの予定だったから食材は受け取って冷蔵庫入れてあるけど… この大雨じゃ無理だよね?」 「無理だな…。 キッチン使えるんでしょ? 鍋とか包丁、皿もある? …いーよ、なんとかする。」 「ありがとう…、凪っ! みなとカナも手伝うって準備してくれてる。」 「了解ー。 あ、そーだ! 停電する前に紅葉を風呂に入れたいんだけど…あ。さすがに一人で入れる(笑) なんかさっきから喘息の咳が出始めててさー。温めないと…! カナ、風呂の準備頼んでいい?」 カナが凪の口元を読んで頷き、バスルームへ向かってくれた。 話を聞いたみなも紅葉を心配している。 「紅葉、大丈夫? はい。ホットミルク…」 「ありがと。 …平ちゃんも欲しい?」 「いーよ、座ってて。 お水とおやつあげとくね。」 みなの言葉にうんと答えた紅葉はソファーでマグカップを手に少し疲れた表情を見せていた。 季節の変わり目だし、ここは都会より気温差がある。精神的にもちょっと疲れたのかもしれない。 「紅葉…。 とりあえずこれ着てて。 今カナが風呂沸かしてくれてるから、出来たら入って温まりな。 俺、今から飯作らないといけないから…! 一人で大丈夫だよな? 一応平九郎をバスルームのとこまで連れて行って? 平九郎…紅葉を守れよ。」 凪の上着を受け取った紅葉は少し不安そうだったが、事態を把握し、大人しく従った。 ここにいるメンバーは信頼しているが、先ほどのこともあり、用心に越したことはないと思っている凪。 平九郎も紅葉の体調の変化にきちんと気がついていて、片時も紅葉の側を離れない。 凪に言われた通り、紅葉を守るようにバスルームの前で番をして、出てきたあとも大人しく寄り添っている。 「紅葉くん大丈夫ー? 上の部屋で休む?」 凪に頼まれたのだろう、翔が声をかけてくれた。 平九郎は立ち上がって紅葉との間に入る。 「平ちゃん…翔くんだよ、大丈夫…。 ありがと。 凪くん見えるから…ここがいい。 ソファー占領しちゃうけど…!」 「全然いーよ。 じゃあテキトーに毛布持ってくるね。」 リビングを見渡せば、2階の部屋からテーブルや椅子を持ってきて休みながら、テレビを眺める人たちや、備蓄の懐中電灯などを管理棟から借りてくる人たちもいた。 キッチンでは凪を中心に夕食の支度が進められているようだ。 誠一はノートPCを広げて雨雲の動きを見ているようで、その顔は険しい。 隣では光輝が管理棟や役場などに電話をかけて情報収集をしている。 紅葉は皆が出来ることをしている中で、何も役に立てない自分に不甲斐なさを感じつつも、せめてこれ以上迷惑をかけないように安静にしているしかなかった。

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