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【リオの受難 (3)】

「へぇー! 告白されたなら意識するだろうから、幼馴染みとか関係なく意外とフツーに付き合えるかもね?」 誠一もとりあえず付き合ってみたら?と勧める。 「そっかなぁー…。 そんな感じまだ全然しないし、もし付き合ってもここの2人みたいな感じには絶対なれないと思う(笑)」 ついに手を繋いで、紅葉の額にキスを送る凪をみてそう呟くリオ。 「あ、ここは特殊だから(笑)」 誠一がアルコール度数の高い酒を水のように飲みながらそう呟いた。 「何が? 俺らだって紅葉から告白されてから始まってんだから一緒じゃん。 用は見方というか、自分の意識を変えられるかでしょ?」 「いやいや…(苦笑) そこが一番難しいし…」 「幼馴染みってことは相手のことよく分かってるだろうし、付き合ってもうまくいきそうだよねー?」 「まぁ、そう…なのかなー。 でも親とかも知り合いってか仲いいから…もし別れたらと思うと気まずさが半端なくて。」 リオは恋愛に踏み切れないでいるようだ。 「別れたら気まずいのはみんな同じだって(笑) 付き合う前から別れること考えちゃダメでしょー?」 誠一の意見は最もである。 「円満で別れたら別に…ってうん。何でもない。」 寝たと思っていた紅葉と視線が合い、続きを飲み込む凪。 凪は割りと元カノとは友達に戻れるタイプだが、現恋人の前で元カノの話題程タブーなものはないと口を慎んだ。 「…結婚を前提でお付き合いしたらいいんじゃない?」 「はっ?!」 「…相変わらず紅葉くんの発想力はすごいな(笑)」 「…写真見たから分かると思うけど、向こうも男だよ?」 「……でもそういう気持ちでお互い付き合えば…いいと思う。きっとうまくいくよ! うん!リオくんだけじゃなくてみんなも! 光輝くんみたいに!」 「いやー、あいつは特例中の中でも特殊だから…(苦笑)」 「…酔いが回ってきてるね(笑) そろそろいい時間だし、タクシー呼ぼうか?」 「悪い、頼む…。 スマホが出せない(笑) ほら、紅葉…! そんな掴まってたら動けないって…(苦笑)」 「うぅ…っ! ねぇ、いつ結婚してくれるのっ?」 この絡み方は完全に酔っ払いである。 この場合の回答は難しい。 例え紅葉が覚えていなくても嘘はいけない。 「…んー、今日はもう遅いから明日でもいい?」 「…うんっ!」 凪の答えに満足そうに頷いて、ご機嫌の紅葉は拘束を解いた。 「ごめんなさい、凪くんの苦労が分かった気がします…。絶対野放しにしないでくださいね!」 「…分かってる(笑)」 その後、リオはみんなにそろそろだよーと、声をかけてお開きの準備にかかる。 彼女と破局危機だという後輩を宥めながら、集金をしようとすると… 先輩方が多めに出してくれて、後輩たちの分を補うことが出来たのでホッとするリオ。 「みなちゃんと光輝くんにお土産…」 紅葉がレジ前でごま団子を見付けて凪にねだった。 「あ、いーよ。 みなとカナとじいさんも好きそうだな… みんなにも買おう。」 凪が人数分+3でと店員に頼む。 「はい、リオ。 俺らの分と土産代ー。」 凪が万札を数枚取り出してリオに手渡した。 「あ、お兄さん! これ気に入ったから2本持って帰りたいんだけどいいかな?」 「畏まりました。 ありがとうございます。」 「誠一くん、このお酒ならネットかスーパーの方が安いよ?」 こっそり教えるリオに誠一は笑顔で返す。 「今日飲むからいいんだ。 あ、あと僕払うからいーよ。 二次会行くなら足しにすればいいし。 リオくん、みんなにお土産配って。」 「えっ?!これから? まだ飲むんですかっ?! …了解です。 ありがとうございます!」 「じゃあお疲れー!」 リオはやたら金持ちなバンド仲間に笑顔をひきつらせて自分ももっと稼げるように頑張ろう!と心に誓った。 End

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